1997年に49歳の若さで亡くなった不世出のシンガー・ソングライター、
ローラ・ニーロ(Laura Nyro)が1968年に発表したアルバム『
イーライと13番目の懺悔』が、4chサランド・ミックスを収録する7インチ紙ジャケットSACDマルチ・ハイブリッド・エディションで11月27日(水)に再発されます。4chサラウンド・ミックスを収録したSACDマルチ・ハイブリット・エディションの日本盤リリースは初。また、7インチ紙ジャケット仕様でのリリースも日本初です。
『イーライと13番目の懺悔』はローラ・ニーロの2ndアルバム。
フィフス・ディメンションのカヴァーがヒットした「スウィート・ブラインドネス」「ストーンド・ソウル・ピクニック」や、
スリー・ドッグ・ナイトが取り上げた「イーライがやって来る」など、ソングライターとしての魅力あふれる楽曲が収録されています。デビュー間もなく開花した作家としての才能に加え、感情の起伏の激しいエモーショナルな歌声が深く心に染み入る傑作。デビュー作では参加する事が叶わなかった、チャーリー・カレロがローラとの共同プロデューサーに就き、おもにジャズ系ミュージシャンをバックに配し、ほとんどのピアノをローラ・ニーロが弾いています。
監修は、1994年のローラ日本公演の企画制作を担当した音楽ライター / プロデューサーの長門芳郎。長門が執筆したライナーノーツの一部が公開されています。
[ライナーノーツより] 1997年4月8日、天国へ旅立ったローラ・ニーロ。その日、私はコネティカット、ダンベリーの彼女の自宅を訪ねるためにニューヨークに滞在していた。その3年前、彼女と話しをした際、自宅に遊びにいらっしゃいと言われ、楽しみにしていたのだ。何度か電話をかけ、留守電にメッセージを残したが連絡が取れないまま、後ろ髪を引かれる想いでロスアンジェルスへ向かった。出迎えに来てくれた友人から聞いたローラの訃報。信じられなかった。ホテルに着き、ニューヨークのピーター・ゴールウェイに電話をすると、彼もニュースで知ったばかりだという。まだ49歳の若さだった。あれから27年。この10月18日には天国で77歳の誕生日を迎える。
今回再発される『イーライと13番目の懺悔』(1968年)はローラのアルバムの中でも評価、人気共に高い初期代表作。度々、再発されてきたが、今回は生誕77年を祝う意味合いもあり、パッケージ(初7inch紙ジャケ)もサウンドも特別仕様となっている。貴重な4chサラウンド・ミックスを収録したSACDマルチ・ハイブリッド盤(日本初)ということで、実際に左右のフロントスピーカーとリアスピーカー、計4個のスピーカーに囲まれて聴いてみたが、その生々しく立体的な音に圧倒されてしまった。レコーディング時、まだ20歳だったローラの歌声とチャーリー・カレロ編曲による躍動するリズム、洗練されたオーケストレーションに全身を包まれる至福。まさか録音から56年を経た今、こんな体験が出来るとは思ってもみなかった。――長門芳郎