12月の来日公演を控えるヴァイオリニストの
パトリツィア・コパチンスカヤ(Patricia Kopatchinskaja)が、音楽監督を務める
カメラータ・ベルンとその首席チェロ奏者トーマス・カウフマンとともに、故郷を追われた、あるいはやむなく去った人々をテーマに構成した新作アルバム『エグザイル 〜シュニトケ: チェロ・ソナタ(チェロ、弦楽とチェンバロ版)、パヌフニク: ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 他』を12月6日(金)に発表します。
コパチンスカヤ自身、故郷モルドバは自分のなかでもはや失われており、永遠に根無し草であると感じていることが、このプログラムの根底にあります。本来はウクライナとロシアに共通する民族楽器クギクリ(パンパイプ)を使用して演奏される伝承曲の、リズミカルながらもどこか不安を帯びた編曲版から弦楽合奏による
シュニトケのチェロ・ソナタが立ち上がり、巨大な蒸気機関を思わせる曲想へと発展していくオープニングは圧巻です。
さらに、コパチンスカヤが不穏な響きに乗り澄んだ声で歌うモルドバの伝承曲、故郷ポーランドで演奏を禁じられた
パヌフニク、内的亡命者と呼べる
シューベルト、ソヴィエトで12音と四分音による音楽に打ち込みフランスへ亡命したヴィシネグラツキーなどが続き、ラストは
イザイが
シンシナティ交響楽団の音楽監督を務めていた時にヴァイオリンとヴィオラの合奏のために書いた「逃亡者」を収録しています。