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リアル・エステート、一夜限りの東京・神田公演のライヴ・レポート公開

リアル・エステート   2024/11/21 13:34掲載
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リアル・エステート、一夜限りの東京・神田公演のライヴ・レポート公開
 USインディー・シーンを牽引する米ニュージャージー出身の5人組バンド、リアル・エステート(Real Estate)が、11月20日、東京・KANDA SQUARE HALLにて一夜限りの来日コンサートを開催しました。

 今年2月にリリースした最新アルバム『Daniel』を携えた本公演では、1stアルバム『Real Estate』や3rdアルバム『Atlas』に収録される長く愛されている楽曲も披露。

 今回、温かいムードに包まれた公演の模様を伝えるレポートが到着しています。

[ライヴ・レポート]
 コンパクトなポップソングにフォーカスした最新作『Daniel』を引っ提げて待望の単独来日ツアー。2010年の初来日以来の東京でのライブは『Daniel』のオープナーでもある「Somebody New」で幕を上げた。ベテランと呼んでさしつかえないキャリアを重ねた彼らが「同じではいられない」と変化を受け入れるというテーマをあらためて歌うことに敬服する。夢心地にさせてくれるギターソロを持つ「Flowers」へ続くこの序盤の推進力溢れる展開からリアル・エステートの世界にグッと引き込まれる。2014年の名盤『Atlas』収録の「Crime」を聴いていると、気が置けない旧友が帰ってきたような喜びが溢れてくる。ベースのアレックス・ブリーカーが「今夜は10年以上ぶりの東京でのクラブショーなんだ、ここに来られてとても嬉しい」と喜びを隠さない。

 彼らのディスコグラフィーのなかでもソウル / ディスコに寄ったアルバム『The Main Thing』から「Paper Cup」。90'sギターポップ、ネオ・アコースティックのような爽快さを持つ「Water Underground」へ。同じニュージャージー出身のバンド、ザ・フィーリーズを思わせる疾走感たっぷりの「Say No More」のグルーヴィーなベースラインに体が反応せずにいられない。

 マーティン・コートニーとジュリアン・リンチによる繊細でジャングリーなギターの絡みに、マーティンの味わい深いとしたヴォーカルが重なる。これまでの彼らのライヴ・パフォーマンスは、ミッドテンポのグルーヴをベースにした、いい意味で平坦なイメージが強かったが、この夜は新ドラマー、サミー・ニス参加の効果が随所に現れていた。安定したプレイのみならず、自身のユニット、ハイディング・ビハインド・サウンドではギターとヴォーカルのほかすべての楽器を演奏するマルチ・インストゥルメンタリストである彼女のキャラクターが、初期のサウンドにあった儚さを刷新しているようだった。

 「It's Real」ではコーラスの「Oh, oh oh, oh oh, oh oh, oh oh」で合唱が起こる。「Freeze Brain」ではニスのブレイクビーツのサンプルにしたくなるドラムプレイのもと、ゆるやかなサイケデリアが拡がる。”あなたを待ち焦がれている”という歌詞が胸に迫る「Darling」。まだこのアジア&オーストラリア・ツアーでまだ演奏していない曲、という紹介のあと、アレックスがリード・ヴォーカルをとる「Wonder Years」を聴けたのも嬉しかった。「Interior」ではパワーポップ的な甘いメロディにマーティンのヴォーカルの説得力が胸に迫る。『Atlas』収録、バンドの最も長く愛されている曲と言っても過言ではないだろう「Talking Backwards」。そして同じバンドの最も長く愛されている曲「The Bend」へ。水面のきらめきを思わせるマット・コールマンによるキーボードのイントロのあと、本編は「Saturday」で締めくくられた。

 オーディエンスの温かい声援と拍手に応えてアンコールに登場した5人は、2009年のファースト・アルバム『Real Estate』収録の「Suburban Dogs」をプレイ。初来日からバンドをサポートしてくれているファンへのプレゼントとも言えるナンバーに続き、2014年の『Atlas』のオープニングを飾る「Had To Hear」。終わってみれば、エルトン・ジョンのカヴァー「Daniel」など、これも聴きたかった!という曲も少なくないけれど、最新アルバムからの7曲を中心に、これまでの6枚のアルバムをすべて網羅。ブリージンなギターポップを基調アルバムごとにゆるやかなグラデーションが施されたバンドのディスコグラフィーをたどるようなセットとなった。あっと驚くような仕掛けや派手な演出はないかもしれない。しかし、いつでも帰って来られる、ついつい手に取ってしまう楽曲たち。きっとこのあともこの夜のセットをまとめたプレイリストをことあるごとに聴くことになるだろう。バンドのエヴァーグリーンな輝きがたっぷり詰まったステージだった。


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Text by 駒井憲嗣
Photo by Kaoru Goto


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