著作が30ヵ国語以上に翻訳され世界的な評価を得る作家の多和田葉子と、日本を代表する作曲家の一人である
細川俊夫がそれぞれ台本と作曲を手がけたオペラ『ナターシャ』が、8月11日(月・祝)から8月17日(日)まで、東京・新国立劇場オペラパレスで世界初演されます。
『ナターシャ』は、新国立劇場の
大野和士芸術監督による日本人作曲家委嘱作品シリーズ第3弾。地球環境をテーマに、日本語、ドイツ語、ウクライナ語などの多言語によって、現代文明と人間の始原の姿が対比されていきます。ドイツを拠点にする多和田は、ドイツで作曲を学び活動していた細川と親交が深く、日本初の多言語オペラを創ろうという細川の誘いに「脳に電光が走った」といいます。
物語は、母なるものを求め地底への入口を探すアラトが、故郷を追われ彷徨うナターシャと出会うところから始まります。言葉が通じないながら名を伝えあった二人の前に、メフィストの孫と名乗る男が登場。二人はメフィストの孫に誘われ、海辺から森へ、そして現代のさまざまな地獄をめぐり、旅の終わりに新しい世界と愛を見つけます。
出演はイルゼ・エーレンス(ナターシャ)、山下裕賀(アラト)、
クリスティアン・ミードル(メフィストの孫)ほか。演奏は大野和士指揮
東京フィルハーモニー交響楽団、
新国立劇場合唱団。
また、公演関連イベント「新作オペラ『ナターシャ』創作の現場から 台本:多和田葉子に聞く」が、東京・新国立劇場 中劇場で5月15日(木)に開催されます。料金は無料、新国立劇場のウェブサイトにて事前申し込みを受付中です。