SAB(サブ)と呼ばれた若干19歳の天才音楽家が思い描いた壮大な音楽の叙事詩を、電子音楽機材を用いて磁気テープ上に“結晶化”した、日本産プレ・ニューエイジ・ミュージック作『
Crystallization』(読み:クリスタリゼイション)がLPで再発。EMレコードより6月13日(金)にリリースされます。
本作は、ポストパンク期の大阪を代表するインディー・レーベル、ヴァニティ・レコードの第2弾作として1978年に発表。「ニューエイジ」の呼称・風俗が日本に広まる前に出現した、プレ・ニューエイジ・ミュージックの名盤です。
録音では2人のミュージシャンのサポートを受けていますが、大半はSAB自身による多重録音で制作された、いわゆる“宅録”ベースの作品。SABの唯一のソロ・リリースであり、
ブライアン・イーノとイーノが設立した「オブスキュア・レコード」勢、
ポポル・ヴーからの影響を窺わせる編曲・楽器法が聴ける一方、それらの影響からの回避も同時に試みられており、その結果、「どんなシンセ音楽の系譜にも属さない傑作」(※)という地位を獲得しました。
今回の復刻にあたり、オリジナルマスターからAD変換/最新ハイレゾ・マスタリングを施し、更に、長年の誤解を解く正しい曲名でお届けする決定版エディションに。解説は柴崎祐二が担当。また、アートワークにある瑪瑙の図版は、思想家ロジェ・カイヨワの著作から着想を得て、まりのるうにい(
松岡正剛夫人)が描いたものです。
※『レコード・コレクターズ』誌2023年11月号特集「日本の新名盤1970-89」掲載 田山三樹氏による『Crystallization』評。