アンヴィル 2009/10/23掲載(Last Update:14/08/04 16:47)
カナダのトロントで結成、1982年にアルバム『メタル・オン・メタル』を発表。メタリカ、スレイヤーら人気バンドに大きな影響を与えたバンド、
アンヴィル(Anvil)。後続のバンドが次々ビッグになっていくなか、彼らだけはスターダムにのしあがることはなく……しかし、約30年の間、彼らは給食配達員などの仕事をしながら活動をし続けていたのだった……。そんな彼らの姿に心打たれた元アンヴィルのローディで、現在
スピルバーグの『ターミナル』の脚本などで売れっ子となったサーシャ・ガバシ監督が、彼らの真実の姿をとらえたドキュメンタリー映画『アンヴィル!〜夢を諦めきれない男たち〜』を完成。今週末10月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開されます。
この映画では、ライヴ・ツアーに出たものの客が数えるほどしかいなかったり、ギャラが食事だけだったり、新作の資金を作るためにバイトをするもうまくいかず、姉に借りたお金で制作。しかもその新作をレコード会社にボロクソに言われたりといった、彼らの悲哀に満ちた現実をそのまま映しています。一方、
メタリカの
ラーズ・ウルリッヒ、
モーターヘッドの
レミー、
アンスラックスの
スコット・イアン、
スラッシュ、
スレイヤーの
トム・アラヤが彼らを大絶賛するコメントをしています。
電車に間に合わず怒られたり、道に迷って会場までたどり着けなかったり、ほとんど奥さんに食べさせてもらっていたりと基本的にダメダメな2人なのですが、自分たちの現実を認めながらも夢を諦めない姿に、誰もが感動すること必至です。「誰もが年を取る。それが現実だ。腹は出て顔の肉は垂れ、髪は抜け時間はなくなる……だから今やる。今から20年後、30年後、40年後には人生は終わるんだ。やるしかない」――このリップスの言葉と同じくらい素晴らしい言葉が次々と映画には登場します。
先日、〈LOUD PARK09〉のステージを沸かせたアンヴィルは、10月20日(火)お台場Zepp Tokyoにて行なわれたこの映画の試写会にも登場(写真)。本編上映後にアンヴィル本人が登場し、予期せぬライヴ・パフォーマンスを披露しました。終了と同時にスクリーンが上がり、ステージにアンヴィルが登場。そのハプニングに会場を埋め尽くしたおよそ1,000人の観客がステージ前に押し寄せる状況となり、場内は一時大騒乱に。アンヴィルが代表曲「メタル・オン・メタル」を演奏すると、場内はたちまち興奮に包まれました。鳴りやまぬ歓声に応え、アンヴィルはアンコール曲を10月21日に発売となる最新アルバム『This Is Thirteen 〜夢を諦めきれない男たち〜』から演奏。ライヴさながらの熱い試写会は幕を閉じました。
夢を持つ人、現実に負けそうでも頑張っているすべての人にお勧めしたい映画。メタルに興味がなくても絶対に観て損なしの内容です! 観るとなぜか元気と力がわいて、人にちょっと優しくなれる。大事な人に教えたくなる、笑って泣ける映画の誕生です。“リアル・スパイナル・タップ”ともいうべき内容なので、DVDで『スパイナル・タップ』を予習してから観るのをお勧めします!
写真:畔柳雪子