今、もっとも注目度が上がっている日本人ピアニストとして、
河村尚子の名前を挙げる方も多いことでしょう。第20回新日鉄音楽賞に続き、第20回出光音楽賞、第36回日本ショパン協会賞を受賞し、ドイツを拠点に世界でめざましい活躍を続けています。
そんな河村尚子を日本で聴けるチャンスが、今年は数多くあります。
ちょうど現在も来日中で、4月末には
NHK交響楽団との初共演(指揮:
準・メルクル)でモーツァルトの協奏曲第24番、5月頭には軽井沢大賀ホール“2010年春の音楽祭”における飯森泰次郎指揮東京フィルとのチャイコフスキーの協奏曲第1番、そして5月11日からは山形交響楽団定期でのショスタコーヴィチの協奏曲第1番と、なんと約2週間のうちに3曲のピアノ協奏曲を5回弾くという多忙ぶり。
その合間を縫って、先日開催されたラ・フォル・ジュルネではオール・ショパン・プログラムの演奏会を2回行ないました。
その後、リサイタルのため一旦ドイツへ戻りますが、すぐさま6月に再来日。ファビオ・ルイージ指揮ウィーン交響楽団との日本ツアーでベートーヴェンの「皇帝」、つくばノバホールでのリサイタル、所沢での佐藤俊介との共演、そして山形交響楽団の東京公演でのショスタコーヴィチの協奏曲第1番の再演が予定されています。
なかでもとくに注目すべきは、6月1日(火)19時より東京・サントリーホールで行なわれるウィーン交響楽団とのコンサート。
公演を前に、河村尚子からのコメントが届きましたのでご紹介します!
「ベートーヴェンの〈皇帝〉は、昨年から演奏会で取り上げはじめた協奏曲です。初めて弾いたのは日本でした。その後いくつかのオーケストラと共演を重ねてきています。ベートーヴェンの協奏曲ではこれまで第3番、第4番、そして第1番を弾いてきましたが、5曲の中でも最も人気のある〈皇帝〉の演奏を決心するまでにはずいぶんと時間がかかりました。
実は有名な曲を取り上げることが苦手なのです。大勢の偉大な先輩方が名演奏を残しておられ、聴衆の方々の耳にもそうした演奏に触れたときの感動が耳に残っているからです。それだけに、自分自身の意見を練って、納得のいく演奏に仕上げるまでに時間をかけることにしています。
〈皇帝〉は、第1楽章のカデンツァのパワフルな開始が革命的ですし、主題のメロディも親しみやすさ抜群。第2楽章はショパンのノクターンのように美しいですし、第3楽章はチャーミングで楽しいお祭りのよう。やはり名曲として聴き続けられてきただけの魅力があることを改めて実感しています。
マエストロ・ルイージ、ウィーン交響楽団とは今回が初めての共演になります。リハーサルではお互いに集中して意見を率直に交換し、尊重しながら、素直に音楽を楽しみたい、と思っています」――河村尚子 その次の来日は11月のソロ・リサイタル・ツアー。大阪は11月10日のいずみホール、東京は11月17日の東京オペラシティ タケミツメモリアルが予定されています。河村尚子の充実ぶりを、ぜひコンサートでお確かめください!