文化庁芸術祭賞が12月21日に発表されました。芸術祭賞は、演劇、音楽、舞踊、大衆芸能などの公演、テレビ・ドラマ、テレビ・ドキュメンタリー、ラジオ、レコードといった芸術作品の中から、高い独創性や企画性を基準として審査を行ない、8部門の対象を決定するものです。
各部門賞のうち、レコード部門としては4作品が受賞。大賞は『二世豊竹古靱太夫(山城少掾)義太夫名演集』、優秀賞は
『モノ=ポリ』、
『ブクステフーデ:ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ』、
『柴田南雄とその時代第一期』です。
なかでも
松平敬による『モノ=ポリ』は異色のコンセプトで話題を呼んだ作品。すべて一人の声だけによる多重録音で、究極のワンマン・アカペラ=電脳声楽アンサンブルを作り上げた驚愕のアルバムです。“カノン”をテーマに、マショーからリゲティ、ケージまでを選曲、そのこだわりの配列にも注目です。
『ブクステフーデ:ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ』は
桐山建志(vn)、風早一恵(Vg)、
平井み帆(hc)によるアンサンブル作品。バッハ以前のドイツ・バロック音楽において重要な作曲家の一人であるブクステフーデの室内楽の集大成です。
『柴田南雄とその時代第一期』は、作曲家、音楽学者、評論家として活躍した柴田の作品を4枚のCDと2枚のDVDにまとめた大作。戦後間もない最初期の弦楽四重奏曲から70年代の電子音の作品、87年の合唱作品までを収録した貴重なセットです。
いずれも“ほかでは誰もやらない”独創的かつ資料的にも貴重な企画のアルバムが揃いました。ぜひチェックしてみてください!