今月の
シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)来日公演を前に、彼女の“もうひとつの顔”を伝えるストーリーが、朝日新聞の2月28日(月)夕刊「ニッポン人・脈・記」で紹介されました。
皆さんは『かわいそうなぞう』の物語をご存じでしょうか? 終戦間近の昭和20年、空襲をうける東京で、市民の安全のために動物たちを殺さざるを得なかった上野動物園の飼育係を描いた、実話にもとづく物語です。
この『かわいそうなぞう』(土家由岐雄原作/金の星社刊)は、45年もの長きにわたり、毎年8月15日の終戦の日に、ラジオで朗読され続けています。朗読しているのは94歳のジャーナリスト、秋山ちえ子さん。
戦後すぐに放送ジャーナリズムの世界に進んだ秋山さんは、戦争を鮮明に記憶している世代として、恒久平和の願いをこめて、この作品を朗読。絶版状態だった同書は、平成20年現在累計220万部を超えるベストセラーとなり、全国の学校や図書館を中心に読まれ続け、アニメ化やTVドラマ化もされています。
2008年にこの
朗読がCD化され、EPICレコードよりリリースされました。このCDには英語版も収録され、その朗読を担当したのが、なんとシンディ・ローパーだったのです!
英語版の企画に賛同したシンディは、朗読を快諾。ふだんの歌声とはうって変わって、ささやくようなやさしい声で物語を読み上げます。そして、「印税は上野動物園に寄付して」と言っているとのこと。
シンディが2008年に来日した際には、秋山ちえ子さんと対面し、1時間にわたり平和のこと、子供たちのこと、そして朗読を続けてきた偉業について語り合いました。
その時もシンディの武道館公演も楽しんだ秋山さんは、今月16、17、18日に行なわれるオーチャードホール公演にも足を運ぶつもりで、再会を楽しみにしているそうです。
「94歳だから!体調にもよるんだけど、シンディさんは特別ね」