フィンは、ヒッピー・サイケ・バンド“Hapshash & The Coloured Coat”のメンバー(“Heavy Metal Kids”とクラジットされているのがフィン)として活躍後、T.REXに合流。「T.REXのアルバムで聴けるパーカッションは、すべてスタジオ・ミュージシャンによる別な録音に差し替えられている」なんてアイドル・グループみたいな噂も根強くあるほどに“達者な”パーカッション・プレイと、現存する映像で観られるワン・アンド・オンリーな物腰が魅力的な彼は、音楽的というよりは存在そのもの、生きていることによってマーク・ボランの創作意欲を刺激しまくった希有な才能の持ち主。一方でイラストの腕前はお世辞でなく達者で、かつてビートルズのアップル・ビルの壁画を書いた集団の一員だったこともあるらしい彼は、キンクスの75年発表作『不良少年のメロディ〜愛の鞭への傾向と対策』のカヴァー・アートも手がけている。彼の動いている姿を観れば、誰もがもう一度観たくなる、ある意味では存在そのものがドラッグのような人物でした。哀悼。