ユニバーサル ミュージックが葉山マリーナを舞台に8月6日(土)、ジャズ・フェスティバル<真夏の夜のJAZZ in HAYAMA 〜 Tribute to Bill Evans>を開催! このフェスでは、1958年のアメリカ<ニューポート・ジャズ・フェスティバル>の模様を捉えた名作映画『真夏の夜のJAZZ』を日本屈指のリゾート、湘南・葉山で再現。ユニバーサル ミュージックが誇るトップ・アーティスト10組による一夜限りの夢の競演に、集まった2,500名の観客は酔いしれました!(写真:小曽根 真)
午後4時の開演と共に登場したのは、今年1月にユニバーサル ミュージックの新ジャズレーベル「area azzura」からデビューした気鋭のイケメン・ピアニスト、
ハクエイ・キム。挨拶代わりの一曲とメンバー紹介を挟んだ後、スペシャル・ゲストとして現在話題沸騰中の韓国発ポップ・ジャズ・グループ、
WINTERPLAYを舞台へ招き入れる。クールでセクシーな美人ヴォーカリスト、へウォンの甘く透き通るヴォーカルを従え、
ビル・エヴァンス「マイ・フーリッシュ・ハート」と
マイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」の2曲を演奏すると、32度の猛暑に見舞われた真夏の葉山マリーナは徐々にクールダウン。海わたる夕暮れの潮風が柔らかく吹き込む中、会場はアンニュイで心地よい雰囲気に包まれました。
続いて登場したのは人気ピアニスト
大西順子が率いる“大西順子オールスター・セクステット”。真紅のサマードレスにターコイズブルーのアクセサリーをアクセントに利かせた鮮やかないでたちで登場した大西は、トロンボーン、トランペット、テナーサックスの管楽器3名を最前列に4曲演奏。エモーショナルで情感ほとばしる「バック・イン・ザ・デイズ」や「ドクター・ジキル」などでは満場の観客から割れんばかりの拍手が起こり、早くも場内の熱気は最高潮に。
次に登場したのは、今年5月にアルバム
『ブロッサム』でメジャー・デビューを果たし、早くも各方面から賞賛を集めるブロンドのキュートなヴォーカリスト、
アマンダ・ブレッカー。コーラルピンクに淡いブルーのペイズリー柄をあしらったホルダーネックドレスで登場したアマンダは、瑞々しく叙情的な歌声でアルバムにも収録された「ブロッサム」や70年代にシンガー・ソングライター・ブームを巻き起こした
ジェームズ・テイラーの代表曲「君の友だち」などを伸びやかに歌唱。傾き始めた西日が潮風になびく長い髪を蜂蜜色に輝かせる中、
キャロル・キングの名曲「イッツ・トゥー・レイト」をジャジーなアレンジで歌い上げステージを後に。
暫しの休憩を挟み、フェス後半は
山中千尋トリオからスタート。記念すべきデビュー10周年となる今年は、8月24日にニュー・アルバム
『レミニセンス』をリリース。さらには最新作『フォーエヴァー・ビギンズ』を引っ提げての全米デビューも決定するなど、ますます精力的な活躍が期待される中での出演!
ステージに登場した山中は静かにステージ上のピアノに向かうと、「アウトサイド・バイ・ザ・スウィング」を華奢な身体からは想像できないほどパワフルに演奏。ウッドベースの重低音と相俟って心地よい緊張感が会場を支配し、一気に聴衆の心を鷲掴みする。演奏後、「とても緊張しています」と小さな声で呟くと「テイク・ファイヴ」などさらに2曲を演奏。
一流ミュージシャンによる夢の競演が呼びものの一つである本イベントで、山中千尋トリオがスペシャル・ゲストとして迎えたのは今年デビュー30周年を迎えたベテラン、
稲垣潤一。「僕って場違い?」というベテランらしからぬ謙虚なコメントと共に登場した稲垣は、自身の代表曲であり、永遠のサマー・アンセムとして輝き続ける「夏のクラクション」をしっとりと歌い上げる。山中が「稲垣さんってリハーサルで8時間歌いっぱなしでも疲れないんですよね」語ると、「歌いすぎて本番で失敗することもあるんです」と茶目っ気たっぷりに返すなど、掛け合いも息がぴったりな2人。2人はもう1曲、
フランク・シナトラで有名な「夜のストレンジャー」をなんと日本語詞に替えて披露。宵の帳が降りる中、ムードたっぷりに競演を締めくくった。山中は、最後に再びトリオで「八木節」を披露。エモーショナルかつグルーヴ感たっぷりな演奏で会場を興奮の坩堝へ。
熱気冷めやらぬライヴのトリを飾るのは、
小曽根真 featuring NO NAME HORSES。世界を舞台に活躍する当代屈指のビッグ・バンドによる絢爛華麗かつ骨太な演奏は、即座に聴衆を魅了。「ジャングル」や「ドント・ギット・サッシー」など4曲をうねるように、畳み込むように演奏。
ビッグ・バンドによる演奏が続いた後には、ステージに艶やかな彩りを添える2人の歌姫がスペシャル・ゲストとして登場。まずは、「そばにいるね」の国民的ヒットも記憶に新しい
青山テルマが、
クリスティーナ・アギレラなどにも歌い継がれるエタ・ジェイムズのブルージーな名バラード「アット・ラスト」。白いワンピースに身を包み登場した可憐な姿とは裏腹なディープでソウルフルなヴォーカルに、会場は総立ちの拍手で応える!
続いてステージに招かれたのは、日本を代表する女性R&Bヴォーカリスト、
クリスタル・ケイ。こちらはセクシーで大人っぽい黒のタイトドレスで登場。かつて
ドリス・デイや、かの美空ひばりも愛唱した米ジャズのスタンダード「上海」を軽やかに、しかし情感たっぷりに熱唱。総立ちとなった観客も思い思いに身体を揺らし、リズムを取って感情を表現する。圧倒的なパフォーマンスを披露した2人の歌姫が舞台を降りた後も、NO NAME HORSESはもう一曲、ラテンなリズム弾ける御機嫌な「ココナッツ・ミーティング」を演奏。「日本では大変なことが起こりましたが、皆さん、これからいい日本をつくっていきましょう」という小曽根の言葉が胸を打つ。
アンコールを求める割れんばかりの拍手に応え、再びバンドと共に青山テルマとクリスタル・ケイが登場。ジャズの有名コーラス・グループ、ランバート・ヘンドリックス&ロスによるナンバー「クラウドバースト」を小曽根たってのリクエストを受け披露。日本の音楽界が誇る若手実力派同士によるスリリングなスキャット合戦は、鳥肌が立つほどに素晴らしく、今宵集まった聴衆にとって忘れられない思い出になったのでは。
トップ・アーティストの競演により奇跡のような化学反応の数々が生みだされた今宵のステージの最後を飾るのは、小曽根真のソロ・ピアノによる「ワルツ・フォー・デビイ」。“ジャズ・ピアノの詩人”と称され、繊細でロマンティックなピアノが今なお広く愛されるビル・エヴァンスの代表曲! この楽曲が収録されたジャズの名盤中の名盤
『ワルツ・フォー・デビイ』(1961年録音)が発表されてから50周年を記念して開催された本フェスを締めくくるに相応しい、想い溢れる演奏によってビル・エヴァンスへのオマージュを捧げ、葉山での一夜限りのジャズ・フェスティバルは静かに幕を降ろしました。