世界最高峰のオーケストラ、
サイモン・ラトル(Simon Rattle)率いる
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が3年ぶりに待望の来日! 11月22日に都内で記者会見が行なわれました。
会見にはメディア関係者など100名あまりがつめかけ、ラトルをはじめベルリン・フィルの首席チェロ奏者オラフ・マニンガー、首席ホルン奏者シュテファン・ドールが壇上に登場しました。
まずはじめにサイモン・ラトルより以下のコメントがありました。
「日本に来るのは3年ぶりとなりますが、その間に、震災という日本にとって厳しい出来事が起きました。日本は私にとってとても大切な国です。今この時期に日本に来れることができて嬉しく思います。私たちの共通言語である“音楽”で、皆さまを少しでも支えることができれば嬉しく思います」 今回の来日公演で日本人作曲家、
細川俊夫のホルン協奏曲のソロを演奏するドールは、このように述べています。
「私も日本を訪れることができて大変嬉しく思っております。すでにベルリン・フィルの団員は多くの室内アンサンブルなどで3月11日以降たびたび日本を訪れており、その際に日本の皆さんにあたたかく受け入れてもらえたことを喜んでます。今回のプログラムには、日本人の作曲家による作品、しかも“ホルン・コンチェルト”があり、私にとってことのほか嬉しい演奏会になりました。日本で演奏することに意味を感じ、日本のお客さまの反応が今から楽しみですし、間違いなく皆さんに受け止めてもらえる作品だと確信しております」 そして11月23日にリリースされる、3D/ブルーレイ
『ベルリン・フィル 3D in シンガポール ラフマニノフ:交響的舞曲&マーラー:交響曲第1番「巨人」』(TOXW-4001 税込5,800円)について、ラトルは以下のように述べました。
「3Dの映像世界、これはまさに新たな旅のはじまりと言っていいでしょう。昨年のシンガポール・ツアー中に撮影したのですが、その数ヵ月前にベルリンでテストを行ないました。たった7分の映像ではありましたが、その場にいた全員が、聴くことに対する、ビジュアルが与える影響の大きさに気付き、大変驚かされました。映像がクリアになるので、汗の一滴一滴までよく見え、また団員の中にはおなかが出ているのでジムに行かなきゃまずいぞという者もいました(笑)。3D映像にすることによって、奏者一人ひとりが身近に感じられ、より多くの人をクラシック音楽に誘うような新たな術を得たと思っています。そしてオーケストラ音楽の新しい楽しみ方に、さらなる広がりと可能性を感じています」 この作品は、株式会社NHK メディアテクノロジーが、ドイツのユーロアーツ・ミュージック・インターナショナル社などと共同制作し、世界最高峰のオーケストラを最新の3D技術を駆使して撮影した歴史に残る作品に仕上がっています。
収録された楽曲は、日本でも人気の高いマーラーの交響曲第1番「巨人」と、
ラフマニノフの「交響的舞曲」の2曲。撮影に際してはベルリン・フィルの全面的な協力のもと、クレーンやレールなどの映画用機材も利用し、演奏者に肉薄したダイナミックな3D映像を構成することに成功。音声についても、元ベルリン・フィル専属音楽プロデューサーであるクリストファー・オルダーが担当し、5.1ch サラウンドによりダイナミックな音響空間を再現しました。
楽団のメディア担当役員をつとめるマニンガーに、今後のベルリン・フィルについて問うと、以下のような答えが返ってきました。
「録音作品に加え、“デジタル・コンサートホール”(ベルリン・フィル映像配信サイト)や今回の3D映像など、さまざまなメディア・プロジェクトを行なっています。少しでもベルリン・フィルを身近に感じてもらおうとFacebookやYouTubeを使って、グローバルな展開も行ない、大きな反響をいただいております。遠く離れた国、たとえば日本の音楽ファンとも距離を縮めることができました。今現在クラシック音楽は支援が必要だと言われていますが、私はこうした新たな活動を通じて、クラシック音楽を社会の中心に持っていくことが必要だと思ってます。さまざまなグローバル・レベルでの活動を通じて、クラシックの未来があるのだと確信しております」 会見では、ラトル、マニンガー、ドールの3氏により、
ブルックナー、
ブラームス、
マーラー作品の音楽解釈やクラシック音楽界の今後についてなど、熱いトークが続き、1時間半に及ぶ貴重な機会となりました。
注目される今後リリース予定については、『カルメン』と『ブルックナー:交響曲第9番』とのこと。ブルックナーの交響曲第9番は4楽章版とのことで、クラシック・ファンの注目をおおいに集めそうです! 今後もベルリン・フィルは、世界最高峰のオーケストラとして、私たちに大きなサプライズと音楽の喜びを与えてくれることでしょう。
(C)Daisuke Akita