DIR EN GREYの北・中南米アメリカ・ツアー<TOUR2011 AGE QUOD AGIS>が12月23日、ハリウッド「ハウス・オブ・ブルース」公演でフィナーレを迎えました。今回は現地より、この最終公演のレポートをお届けします!
DIR EN GREY<TOUR2011 AGE QUOD AGIS>
2011.12.23 @ House Of Blues Sunset Strip,
West Hollywood CA.
オフィシャル・レポート さる12月23日、ハリウッドはサンセット・ストリップにある「ハウス・オブ・ブルース」での公演をもって、DIR EN GREYの北・中南米アメリカ・ツアーが終了した。ちょうど1ヵ月前にあたる11月23日、チリのサンチアゴで幕を開けた今回のツアーは、先頃の国内ツアーと同様に<TOUR2011 AGE QUOD AGIS>と銘打たれた、全7ヵ国/計18公演に及ぶもの。真夏の南半球から真冬の北半球へ、そして東海岸から西海岸へと、まさにアメリカ大陸を縦横断するかのように展開されてきた。
現地時刻の12月23日午後9時半に開演を迎えたこの最終公演は、「狂骨の鳴り」をオープニングSEに据えながら「OBSCURE」でスタート。場内をぎっしりと埋め尽くしたオーディエンスの熱心さは、当日の午後、会場を取り巻くように長蛇の列ができていたこと以上に、瞬時にして楽曲に呼応して声を上げる、そのスピードに象徴されていた。しかも無闇に盛り上がって暴れるばかりではなく、テンポを落としたダークな楽曲では、京のステージ・パフォーマンスに視線を集中させながら唖然とした表情をしている観客の姿が目についた。正直なところ、現時点での最新アルバムである
『DUM SPIRO SPERO』からの楽曲のなかには、いくぶん即時的な反応が薄い部分もありはしたが、それはおそらく時間が解決してくれることだろう。そして何よりも、次々と繰り出される楽曲たちが、いずれも長いツアーを経て、さらに強度と鋭利さを増しているという事実。日本国内でのツアーのように映像や照明効果を駆使したステージが披露されるわけではないが、そうした要素を一切伴わない“裸”のライヴならではの説得力というものを感じずにいられなかった。アンコールの最後、「羅刹国」を演奏し終えてその場から去ろうとするメンバーたちの表情にも、清々しい達成感めいたものが浮かんでいるように見えた。
終演直後に会場の外で遭遇した現地在住の男性ファンは「そもそもは彼女がこのバンドのファンで、その付き合いでライヴにも来るようになったんだけど、今ではむしろ俺のほうが夢中になっている」と語り、同伴のガールフレンドもその言葉を肯定しながら笑っていた。また、話を聞いたファンの多くが、このバンドの極端なまでの“エモーショナルさ”こそがほかのヘヴィ・ロック系バンドとの最大の違いだと、異口同音に語っていた。加えてバックステージには、彼らのファンだという地元の若いミュージシャンの姿も。その一人、かのテリー・ボジオの息子で自らもドラマーであるラーネン・ボジオは「素晴らしいライヴだった。今夜初めて観たんだけど、ものすごく音楽的に触発されるものがあった」と語っていた。
そして、この夜の公演をもってDIR EN GREYの2011年内のライヴはすべて終了。クリスマスもへったくれもないスケジュールで、終演から半日も経たないうちに帰路に就いたメンバーたちの視線はすでに、2012年1月22日に控えている大阪城ホール公演<UROBOROS -that's where the truth is->に向かっている。当然ながらその先の未来についても気になるところだが、まずはメンバーたちが「間違いなく、二度と観られないライヴになる」と口を揃えるこのライヴを確実に観ておきたいところだ。もちろんその前に登場する
『UROBOROS [Remastered & Expanded]』にも是非、ご注目いただきたい。(文 / 撮影 増田勇一)