ジャズ・レーベル、ブルーノートで活躍したミュージシャンを毎号一人ずつ取り上げ、その生涯やブルーノートでの活躍、レーベルの歴史を解説。さらに毎号オリジナル・セレクションのCDが付く隔週刊『ブルーノート・ベスト・ジャズコレクション』(ディアゴスティーニ)の創刊を記念し、2月22日に青山のブルーノートにて豪華ミュージシャンが出演、ブルーノートに残された名曲ばかりを演奏する一夜限りのライヴ『BLUE NOTE Plays BLUE NOTE』が行なわれました。1985年のこの日、レコーディング活動を一時中断していたブルーノートは、ニューヨークで
ハービー・ハンコックや
アート・ブレイキーらが出演するコンサートを開催。華々しくレーベルの復活を宣言した記念日でもありました。
出演したのは、
quasimode、
纐纈歩美(as)、
井上銘(g)、大塚広子(DJ)とスペシャル・ゲストの
日野皓正、DJ敷島。DJの大塚広子がブルーノートの名盤からファンキーなナンバーをプレイするなか、最初にステージに上がったのは、この日のハウスバンド、quasimode。「オン・チルドレン」「ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ」と2009年のアルバム
『mode of blue』でカヴァーしている2曲で客席を沸かせたところで、昨年のデビュー・アルバム
『ファースト・トレイン』が絶賛されたギタリストの井上銘が登場。グラント・グリーンの「ジャン・ド・フルール」で柔らかなトーンのソロを披露しました。続けて実力派サックス・プレイヤーの纐纈歩美が加わり、3月に来日公演のある
ルー・ドナルドソンの名曲「アリゲーター・ブーガルー」。井上銘、纐纈歩美という今後のジャズ・シーンを牽引していくだろう若手二人の貴重な共演でした。
DJ敷島という名前から予想はつくでしょうが、現在は安治川親方として角界で後進の指導にあたっている元力士の敷島は、登場するなり巧妙な話術で場内を沸かせ、「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」「サマータイム」の2曲で歌を披露。そして最後に登場したのは日野皓正。登場した瞬間に、それまでのなごやかな雰囲気が張り詰めた空気に変わる。曲間のMCではだじゃれで笑わせつつ、トランペットの音色から色気と長いキャリアの重みが感じられる演奏でした。20〜30代の若い出演者のなか、今年で70歳になるという日野は、ほかの人がソロをとっている間、ステージ踊りまくり。圧倒的なかっこよさを見せつけました。
出演者全員が登場したアンコールは、
ケニー・ドーハムのアルバム『アフロ・キューバン』から「アフロディージア」。観客全員が立ち上がって踊るなか、ラテン色の強いこの曲を披露し、場内の笑顔と日野の両手ピースで2時間を超えるこの日のステージは幕を閉じました。
(写真/森リョータ)