今年デビュー10周年を迎え、全世界でオリジナルアルバムが総計4500万枚のセールスを誇る米シンガー、ノラ・ジョーンズ（Norah Jones）。デビュー作は過去10年で世界で最も売れたアルバムとなるなど、世界的な歌姫です。そんなノラが、通算5枚目となるオリジナルアルバム『リトル・ブロークン・ハーツ』（4月25日・日本先行発売）からのリード・シングル「ハッピー・ピルズ〜幸せの特効薬」のミュージック・ビデオの中で、なんとサスペンスドラマのヒロインを演じています。

　ストーリーは、裕福なマダム役に扮したノラ・ジョーンズが、ある日、愛する夫の浮気を知り、探偵を雇う。探偵が入手した写真には、ある夏の日に夫と楽しげに会話をしていた赤毛の女性が写っていた。嫉妬に狂うわけでもなく、クールな表情で冷静を装い企むノラ。車中で夫と最後のキスを交わした後に待ちうける結末は？というように、ストーリー仕立ての作品となっています。

　2008年に公開されたウォン・カーウァイ監督の初の英語での映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』でジュード・ロウやナタリー・ポートマンとともに主役を演じるなど、すでに女優としての実力を示していたノラは、このミュージック・ビデオでも仕草や目線で完全に演じきっています。

　撮影地は「アップステート・ニューヨーク」。静かな湖畔に立つ豪邸やレトロな雰囲気の電話や車、ファッションがサスペンスの雰囲気を盛り上げ、まるで映画のよう。「ハッピー・ピルズ〜幸せの特効薬」は「偽りの愛ならサヨナラする」という男気ならぬ女気（おんなぎ）を感じる、ノラ流な前向きソング。めそめそと立ち止まらず、明日への幸せを求めていく女性の強さを感じる曲です。ノラ自身の失恋経験をストレートに綴りながら物語が描かれいる点にも注目です。