清水崇 2013/10/16掲載(Last Update:16/02/16 19:19)
サム・ライミはじめオリジナル版製作スタッフ自らの手によって甦った、21世紀“真”のスプラッター映画『死霊のはらわた』。本作の
Blu-ray&
DVD発売、デジタル配信開始を記念し、「ニコニコ生放送」にて“映画『死霊のはらわた』リメイクは是か非か?徹底討論生放送”が行なわれました。
MCは、映画パーソナリティのコトブキツカサと行成とあがつとめ、ゲストには、
清水 崇(映画監督 / 『呪怨』)、
神谷 誠(映画監督 / 『バイオハザード ダムネーション』)、高橋ヨシキ(映画秘宝 / DevilPress班)、藤原カクセイ(特殊メイク・アーティスト)、
高橋 洋(映画監督)、ジャンクハンター吉田(映画ブロガー)ら豪華な顔ぶれが集結。
まずはゲスト陣がオリジナル版に対する感想を語り、「昔はホラー映画が好きではなかった」という清水 崇は、「嫌々ながら薦められてオリジナル版を観たことをきっかけに、ホラー映画を観るようになった。ホラー映画の入り口になった作品」とコメント。高橋ヨシキは「サム・ライミらは当時ドライビング・シアターに通って、どういうところで観客が反応しているのかを綿密にリサーチして制作をしていた」と解説、藤原カクセイは「血のりをつかわず、スーパーマーケットで買える、トマトケチャップとかを使っていると思う。それを凌駕するパワーがすごい」。神谷 誠は、「純粋なホラーではなく、エンターテイメント方向によせていったのがすごい。Jホラーがでてくるまでは、(『死霊のはらわた』のように)勢いでみせなきゃいけないという感覚になっていた」と、当時のインパクトがいかに大きいものだったかを語りました。
一方、高橋 洋は、「
黒沢 清監督が絶賛していたんですけど、僕は駄目でしたね。
スティーヴン・キングも絶賛とか、当時のブームみたいになっていたっていうのもあったかも」とのこと。
各々がオリジナルについて語ったところで“リメイク版は是が非か”で分かれ、討論を開始。清水と高橋を除くメンバー全員が否定派となるも、その後の討論で清水も否定派となり、肯定派は高橋のみに。否定派の意見としては、「(大人の事情があったにせよ)芝居が取れていない。誰にも感情移入できない。リメイクすべきではなかった」(清水)、「新人監督の溢れる情熱が感じられない、手堅く普通につくっちゃった映画」「死霊のはらわたっていわなければ、まあいいホラー作品」(神谷)との率直な意見が。細かいディティールや、理屈抜きに面白かったオリジナルに対して“(今時の)普通”になってしまったという点に、否定派の意見が目立ちました。
また、唯一の肯定派である高橋は、「(肯定の理由は)オリジナルに思い入れが少ないからかもしれないが、最初の30分と最後の10分はいらないが、間の40分はかなり頑張っている。(憑依された少女が)“ここから連れ出して”というセリフを発した開始30分頃からが、(作品の)本気が見れてとてもよかった」と意見。
その一方で、否定派のジャンクハンター吉田が「日本はR18がついてしまったが、リメイク版はもともとオリジナル世代ではなく、ティーン・エイジャーに向けて作られた」とコメントすると、「今の人は、まずはリメイク版を観て気になったら、オリジナル版を観たらいいんじゃないですか」(神谷)、「今時の人は、展開がはやくないと寝てしまうのでは? まずはリメイクを観た上で、オリジナル版の(凄さを)感じてほしいですね」(高橋)との回答へ。
オリジナル版を愛するゲスト陣は、総括として「若い人たちにもリメイク版きっかけにオリジナル含め、観てもらえたら嬉しい」と意見をまとめ、討論を締めくくりました。