2013年12月24日、
geek sleep sheepがスペシャルなクリスマス・ライヴ〈confusion bedroom vol.2〉をLIQUIDROOM ebisuで開催した。「vol.2」との表記どおり、これは3月26日に行なわれた〈confusion bedroom〉@渋谷CLUB QUATTROに続くキャリア2度目となるワンマン公演で、待望の1stアルバム
『nightporter』リリース直後ということもあって会場には大勢のオーディエンスが詰めかけた。
サンタクロースの帽子姿のお客さんも待ち受けるなか、定刻の19時になると場内が暗転。星空のような電飾がまたたく幻想的なムードのなか、大歓声を浴びて3人がオンステージ。yukihiroの4カウントから、ライヴはアルバム『nightporter』同様「Weekend Parade」から幕を開けた。
momo×345のハーモニーも鮮やかにリキッドをドリーミーな世界へといざない、続く「GOHAN」では
yukihiroの小気味良いドラミングが共鳴。momoのテレキャスが爆音を轟かせた終盤では、明滅するフラッシュライトとあいまって圧倒的なサイケデリアを描き出した。さらにハードエッジとメロウの隘路を鮮やかに往還する「IMAGINATION」でもフロアを魅力。序盤から一体感は最高潮だ。
ひと息ついて、「メリークリスマス!」とmomo。「こんな日に来ていただいて、ありがとうございます。……ほかに用事なかったんですかね?」と客席を苦笑させながら、「じゃあ、(シングル)『hitsuji』のカップリングのカバーをやります!」と、「SINCE YESTERDAY」(
Strawberry Switchblade)を伸びやかにプレイ。〈♪ラー、ラララー〉のサビメロではフロアにいくつもの腕が揺れ、続けて「Teardrop」、「Last Scene」と繋いでリスナーを『nightporter』の世界に耽溺させる。そのアンサンブルは自然体でありながらも力強く、3人の間には快いバイオリズムの同期があったように思う。始動からまだ2年にも満たないとは思えない、堂々たるサウンドだ。
前半戦終盤には、「知らない曲でも盛り上がってください。yukihiroさん、よろしく!」(momo)と語ってカヴァーソングを二連続投下。ひとつは90年代初頭に活躍したイギリスのパンクバンド・
Daisy Chainsawの「Love Your Money」で、ご機嫌にスウィングするビートと共に誰もがダンス! 続けて、真っ白なフィードバック・ノイズの向こう側から鳴り響いたのは、ご存知
Wham!の「Last Christmas」だ。冒頭のサビを経て345が平歌を歌い始めると、大歓声が湧き上がる。なぜか? 〈♪みなさん、ようこそ、リキッドルームへ〉とスペシャルな日本語詞アレンジが施されていたから。〈♪サンタさんは大忙しだから 私たちからプレゼントのうたを贈るわ〉とのリリックどおり、オーディエンスにとっては最高のクリスマス・プレゼントとなったことだろう。
夜の闇が深まるように、中盤は「magica」→「frame」と陰りを帯びたメロウなナンバーでリキッドを包み、その後のMCでは自身が監修したというグッズの数々を345がアピール(この夜限定のスープマグも販売され、終演後の物販は長蛇の列となっていた)。ほのぼのしたMCタイムの後は、「後半戦、よろしくお願いします!」(momo)と威勢よく呼びかけて、「Good Dream」「Jesus wa gokigen naname」と再びトップギアでスパート。後者ではmomoがステージ最前列に歩み出て激しいギターソロを奏で、カオティックな轟音でリキッドを沸き立たせた。
ライヴもいよいよ終盤。「みなさま、お楽しみいただけましたでしょうか?」とmomoが問いかければ万雷の拍手が起こり、「友達5人ずつ呼んで来てください(笑)」と年明けに控える東名阪ツアー(「tour confusion bedroom」)についても言及。「そのときに新曲できてたらスゴイね。yukihiroさんが作りかけてる曲あるみたいだけど……」(momo)と水を向けると、「ないない」と言うように手を振るyukihiro。そんなフランクなやり取りからも、バンドの親密なコンディションが伝わってくるようだった。そして、「来年もがんばっていきますので、よろしくお願いします!」と345が告げて、「hitsuji」のメランコリックなアルペジオが共鳴。七色の照明と共に幻想的な景色が描き出され、最終曲「Daydream」では一夜の夢を永遠に刻みつけるように鮮烈なノイズを放射。最高潮の歓喜と興奮とともに〈confusion bedroom vol.2〉はフィナーレを迎えたのだった。年明け1月23日からのツアーはもちろん、345のブログ「ゆめのなかへ」(
sp.universal-music.co.jp/geek/345)が期間限定で公開されているので、あわせてチェックしてほしい。(文 / 奥村明裕 撮影 / 岡田貴之)