リッカルド・シャイー&
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団がただいま来日中! 日本ツアー初日の3月17日(月)、ブルガリ銀座タワーにて記者懇親会が開かれました。
ゲヴァントハウス管は1961年の初来日以来、定期的に日本を訪れ、今回が13回目となります。2005年にシャイーが同団のカペルマイスターに就任してからは、3回目の来日です。
今回の日本ツアーでは、
マーラーの交響曲第7番「夜の歌」、
ショスタコーヴィチの交響曲第5番のほか、
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」(ピアノは
ネルソン・フレイレ)、
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリンは
五嶋みどり)などがプログラムとして予定されています。
シャイーはマーラーの交響曲第7番について、以下のように語りました。
「第7番はマーラーの交響曲の中でも、いちばん人気の低い曲かもしれません。しかし私は、ライプツィヒでこの作品をもっとも多く指揮しており、この作品の奇跡的な価値を伝えていきたいと思っています。複雑でアプローチに勇気を強いられる曲ですが、ベルクやシェーンベルクに高く評価されていたことも頷ける作品です」
シャイーとゲヴァントハウス管は、マーラーの交響曲の映像をDVDとしてアクセントゥス・ミュージックよりリリースしており、今後全集になる予定です。
そしてショスタコーヴィチの交響曲第5番については、
「私とゲヴァントハウス管がショスタコーヴィチを演奏することを、意外に思われる方も多いのではないでしょうか? でもじつは、ショスタコーヴィチの作品はゲヴァントハウス管の重要なレパートリーであり、
クルト・マズアが1970年代に行なったツィクルスは歴史的なものでした。
第5番はマーラーからの影響が色濃く表われた作品。私は戦争を体験したことがない世代としてショスタコーヴィチを演奏したいと思います。政治的なことを無視するのではなく、未来への希望を感じさせる音楽として、皆さんにお届けしたいのです」
記者からの質問に熱心に答えるシャイー。とくに興味深かったのは、
ヘルベルト・フォン・カラヤンとのエピソードでした。
「私がまだ若かった頃、カラヤンからゲヴァントハウス管を紹介されました。“ドイツの東側に宝物のようなオーケストラがある”と。そして1986年、私ははじめてゲヴァントハウス管を振ったのです。その翌朝カラヤンから呼び出され、好意的な言葉をいただきました。今思えばカラヤンは、私とゲヴァントハウス管との間に、本能的に“相性のよさ”を見出していたのだと思います。
私自身、はじめてこのオーケストラを振ったときから自然な関係を築くことができ、それは今でもまったく変わることがありません。ですから、2005年からのカペルマイスター就任のオファーをいただいたときは、とても驚くと同時に嬉しかったですね」
若きイタリア人マエストロとドイツの伝統的なオーケストラ、その相性を見出したカラヤンは、やはり偉大だったと思わざるを得ません。
「マエストロの熱意、イタリアの情熱が私たちを引っ張ってくれている」と同管の総支配人、アンドレアス・シュルツが語るとおり、シャイーは伝統を重んじながら革新を続けています。
「私がカペルマイスターに就任して以来、40人もの団員が入れ替わりました。けれど、私が目指しているのは常にひとつ、“音の伝統をどうやって維持し、高めていくか”ということに尽きます。伝統的なオーケストラには、固有の“音=sound identity”があります。新しい団員の個性を、いかに古いオーケストラの音と融合するか、それが永遠の課題です」
シャイーとゲヴァントハウス管、今まさに蜜月を迎えているコンビによる“伝統と革新の音色”を、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか?