佐野元春 2004/01/09掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
『SOMEDAY』の20周年記念スペシャル・エディションのリリースから2年、ウワサされていたアノ名盤の特別盤が登場! 2月18日に発売される
『VISITORS 20th Anniversary Edition〈CD+DVDの2枚組〉』(ESCL-2504〜5 \3,800(税抜))です。
『SOMEDAY』が大ヒットし、誰もが“ああ、モトハルのサウンドってこういうのなのね”と納得しつつあった83年初頭、『SOMEDAY』をひっさげて行なったツアーの最終日、佐野は独特の口調でファンにいきなりこう告げます。
「ニューヨークへ行きます」
『SOMEDAY』の直後にリリースしたベスト・アルバム
『NO DAMAGE』は、ニューヨーク行きを決意した佐野を見送るかのようにチャートのNo.1へと駆け上る大ヒットを記録。ますますファンを増やしました。当時のファンはこれらを聴いて思いますね。
「ハートウォームでおしゃれ。この人は新しい日本語解釈でロック・サウンドを演奏する人なんだなあ」
『VISITORS』を製作していた83年、ファンは自分なりの“モトハル・サウンド”を作り上げていた時期だったわけです。
そして運命の84年5月。アルバム『VISITORS』がリリースされます。
「なんじゃこりゃあ!」
とファンは一様に驚きました。サウンドがそれまでとまったく違う。典型的な8ビートのロック・サウンドにディストーション・ギター。その上を暴れまわる街の少年少女を歌った歌詞・・・・。そんなそれまでの“モトハル・サウンド”が一切ありません。そこにあったのは、当時ニューヨークで佐野がじかに体験した“ヒップホップ・サウンド”の原型。デジタル・サウンドをふんだんに使用し、シャープなキレを見せる今に連なるラップ・ミュージックの黎明期のサウンド、といったらよいでしょうか。
当然、ファンの間で賛否両論が渦巻きました。
「スゴイ!やっぱり天才だ」
「いや、オレが期待していたモトハルのサウンドじゃない!」
どちらももっとも。ただひとつ言えるのは、『VISITORS』のサウンドが、今もって新鮮な響きをもって輝いていること。これっぽっちも色あせていないこと。それは、このアルバムが確固たるオリジナリティを持つからに他なりません。
そんな『VISITORS』のアニヴァーサーリー盤の気になる内容はというと、
(1)新たにマスタリングを施した『VISITORS』
(2)ボーナス・トラックとして「TONIGHT」「COMPLECATION BREAKDOWN」「WILD ON THE STREET」の3曲を追加
(3)84〜85年にかけて行なわれた“VISITORS TOUR”からリミックスを施した2曲(曲目不明)と、発売当時のミュージック・クリップを収録したDVD
(4)当時の記事、秘蔵写真等を収めたブックレット
などなど。
いかなる音楽的逆境・困難も独自のユーモアとオリジナリティをもって乗り越えてきた
佐野元春の真骨頂を納めた記念碑的アルバムを、これを機にぜひどうぞ。