エスペランサ・スポルディングをフィーチャーしたダブル・ベース、2サックス(3管) 編成の前作
『カラーズ・オブ・ア・ドリーム』も記憶に新しい
トム・ハレル(Tom Harrell)がニュー・グループによる新作『トリップ』(KKE-037 2,190円 + 税)をリリース。発表が待たれていた今作はサックスに
マーク・ターナーを迎えた2管編成。
「このグループでは、個々人の音が対等に相互作用しあって、共鳴することで、新しい音をつくりたかった。ピアノや、ギターという楽器を加えるというのとは別の手法で」と、トム・ハレルがライナー・ノーツで語っているように、カルテットという凝縮した編成にありながら、メンバーの相乗効果を生み出すことに成功したアルバムです。
現代ジャズのリスナーであれば、2曲目「Cycle」はまさに必聴! めくるめく高速のリフに、メンバー総勢スイッチが入った凄まじい演奏。数多いマーク・ターナーのバイ・プレイの中でもこのソロは5本の指に入る勢いが溢れています。続くハレルもいつになくバリバリのソロを展開。オケグオとアダム・クルースのしなやかで強靭なリズムがそれに追い討ちをかける、この1曲だけでもこの作品は語られ続けられるに違いありません。
このグループのスタートは2012年のイベント“The Festival of New Trumpet Music”。そのオープニングで、セルバンテスの小説からインスパイアされた6つの小曲を組曲にしたものを披露したことが原点とのこと。本作はその6編を含む12曲を収録。
演奏家として、そしてコンポーザー、アレンジャーとして、音楽を追究するハレルの創造性。アーティストの叡智が結実した作品です。