今年2月に堂々の復活を遂げ、5月にリリースされた約6年半ぶり
『ONE MIND』も好評の
ウルフルズが8月30日、大阪・万博記念公園もみじ川芝生広場にて〈クリアアサヒ Presents OSAKAウルフルカーニバル ウルフルズがやってくる!復活のヤッサ!!〉を開催。同公演の模様をレポート。
5年ぶりに復活した〈ヤッサ〉。昨日までの雨が嘘のような快晴だ。会場周辺は、開演前からにぎやかなお祭りムードに包まれている。子連れ、カップル、大学生風の4人組などなど、幅広いファンが思い思いのスタイルでヤッサまるごとを楽しんでいる。まだ4人のいないステージは、左右にLED、正面には「ウルフルズ」の電飾、そしてステージの前ツラからズーンと伸びた花道がある。それにしても長い!50mくらいはあるだろうか。一体どんなライブが行われるのか楽しみでしょうがない。
15:35。LEDに過去の〈ヤッサ〉の映像が映し出された。会場にパンパンに入った1万8000人の目が釘付けになる。そして、休止中の2010年からがカウントダウンのように数字が表示され、花道の中程に設けられたサブステージになんやらモゾモゾと動く物体が!! ゆっくりゆっくり大きく膨らんで行き、馬と鹿のイラスト、中央には“正”の文字が。そしてその提灯型の“馬鹿正直”巨大風船がパンッと破裂したかと思うと、中からウルフルズの4人が登場! 全員、青と白の縦縞のマントをまとっている。「SUN SUN SUN '95」、そして復活の時のアーティスト写真で彼らが身につけていたシャツの柄と同じだ。そのマントを脱ぐと、メンバーそれぞれド派手な衣装。オーディエンスの声援に応えながらメインステージに向かって歩いて行く。
1曲目“イェーイ”のトータス松本の唄い出しで始まる「バンザイ〜好きでよかった〜」で、1万8000人の両手が挙がる。壮観!!続いては「愛がなくちゃ」。ソウルフルな曲に、口笛、拍手などが混ざり、祝祭的なムードがどんどん膨らんでいく。
「ウルフルズです! 元気ですか。帰って参りました!」
トータス松本のMC。
「行こか! ケーヤン!」
「彼女はブルー」「借金大王」「Let's Go Monday」と立て続けに懐かしい曲を披露し、そのままタイトな流れで最新アルバム収録の『ブヤカシャー!』へ。新旧取り混ぜた曲順もヤッサならではの贅沢だ。観客からは、滅多にやらない曲に歓声が起こる。
少し間をあけ、トータスが練習のような感じでポロポロとギターを奏でていたとかと思ったら『サムライソウル』へ突入。
会場の雰囲気がギュッと締まる。曲が終わり、メンバー紹介へ。
ウルフルケイスケが声援に応える。
「5年間お待たせしました。待っててくれてありがとう!!」と、リーダーであるウルフルケイスケの言葉に重みを感じる。
MC明けは、トータス松本が「夏の定番」と紹介した「SUN SUN SUN '95」。ウルフルズが「ガッツだぜ!!」でブレイクする直前の思い出の曲だ。水着のダンサーと大盛り上がり。
「バカサバイバー」「あついのがすき」とつづき、メンバーは一旦ステージ袖にはける。
両脇のビジョンには、“ウルフルショッピング”の文字が。架空の通販番組で物販を紹介していくという、ファンサービスもあった。転換の間もお客さんを楽しませるのがウルフルズらしい。
その間にサブステージにはドラムセットが組み上がり、そこに衣装を着替えた4人が集合する。「ツギハギブギウギ」、デビュー曲「やぶれかぶれ」、「いつも元気」「笑えれば」をつづけて披露。「笑えれば」では、メンバー4人の向き合って演奏する姿にグッとくるものがあった。
メインステージに移り、ここから怒濤の後半戦へ。
「あーだこーだそーだ!」「どうでもよすぎ」「明日があるさ」。「明日があるさ」の間奏では、ウルフルケイスケが巨大な木琴を叩くというパフォーマンスが。ところが、「いまのちょっとあやしかったよな?」と、トータスがもう一回演奏するように観客をあおる。もう一度演奏したケイスケだったが、なんと今度は明らかなミス! 当然トータスも観客も、もう一回を要求。3度目のトライでようやく完遂。
つづく「まいどハッピー」では、こんなサプライズが。メイン・ヴォーカルをとったのは、ウルフルケイスケ! 曲間の「迷ったら真っ直ぐ。迷ったら、行け。迷ったら、行け」というメッセージにしびれた。「迷ったら」「行け!」と自然とコール&レスポンスが生まれた。
徐々に陽が落ちて、涼しくなってきった時分。ステージでは『僕の人生の今日は何章目くらいだろう』がはじまった。
曲終わりのMCでは
サンコンJr.とジョンBがこんなことを言った。
「懐かしい曲もいっぱいやってるんですけど、ほんまに僕らいい曲多いなと思って。まだまだやるから楽しみにしておいてください!」(サンコンJr.)
「なんやかんやで僕らって仲いいもんね」(ジョンB)
ほんと、いい曲多いし、メンバー同士の自然な関係が伝わって来る。
「ヒーロー」からは、照明がグッと派手になった。つづく「それが答えだ!」ではふたたびダンサーが登場し、トータスは花道の先端でダンスを披露。「事件だッ!」、そして本編最後の曲「ええねん」へ。最高の盛り上がり。悲鳴のような歓声がそこらじゅうから上がっている。
18:20、本編終了。
アンコール1曲目は、大阪の大阪による大阪のためのナンバー「大阪ストラット」。曲の途中、ウルフルケイスケが「六甲おろし」を歌い、オーディエンスはすかさずジェット風船を膨らませる。阿吽の呼吸! 舞い上がったジェット風船の数のすごいこと。
Wアンコールには、もちろん「ガッツだぜ!!」。そして最後の曲「いい女」へ。トータスの本音のMCが盛り上げる。
「5年前のヤッサ、あの時はもう一回ここに戻って来られるなんて、そんなこと何も考えられへんかった。あれなんやったんやろ……。今はこんな元気なんです(笑)。メンバーは誰一人立ち止まらず音楽をやってきた。そうやってそれぞれの音楽が行き着いた先がまたウルフルズやったってことを噛み締めたい。奇跡のような話ですよ。これからもよろしくお願いします!」
「いい女」は、彼らがデビュー前に作ったかなり初期の曲だ。それが万博公園の夜空に今夜はとても新鮮に響いた。エンディングでは花火が打ちあがり、大歓声の中、幕を閉じた。
この後、ウルフルズは10月4日の川口を皮切りに、アルバム『ONE MIND』を引っさげた全国ツアーがスタートする。まだまだ駆け抜けるウルフルズ。どのようなライブになるのか、期待が高まる。
(取材・文: 谷岡正浩)