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怒髪天が“今、最も対バンしたい相手”を迎える〈響都ノ宴〉、熱狂の3日間をレポート

怒髪天   2014/12/16 16:49掲載
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怒髪天が“今、最も対バンしたい相手”を迎える〈響都ノ宴〉、熱狂の3日間をレポート
 今年1月に行なわれた日本武道館でのワンマン・ライヴ〈ほんと、どうもね。〉にて、結成30周年というアニバーサリーの開幕を華々しく迎えた怒髪天紅盤白盤の記念盤に、レア音源を含む全39曲が収められたベスト盤『問答無用セレクション“金賞”』も登場と、沸きに沸いた彼らが“今、最も対バンしたい相手”を迎える恒例ライヴ・イベント〈響都ノ宴〉を今年も開催。連日大熱狂を巻き起こしたそのステージをレポートします。

怒髪天の恒例イベント『響都ノ宴』、大盛況のうちに終幕!

 12月12日(金)より3日間にわたり、京都・磔磔にて〈怒髪天 presents“響都ノ宴”〉が行なわれた。怒髪天が“今、最も対バンしたい相手”をゲストに招き、各日コンセプトに基づいたライヴを展開する同イベント。今年で7回目を迎える怒髪天の恒例企画だ。

 1日目は〈怒女王ノ椅子〉と題した対バンを展開。口火を切ったのは今年でバンド結成25周年の人間椅子だ。「新調きゅらきゅきゅ節」で幕を開け、地鳴りのような重低音を鳴らして疾走、会場を煽ってゆく。怒髪天との対バンは初めてという彼ら。この縁に鈴木研一(vo, b)は「人間椅子の30周年にも怒髪天さんは出てくれるのではないでしょうか!」と、5年後に向けた“出演オファー”をステージ上でしてみせた。そして「僕たちのコンセプトは、いいことを歌わないことです」と和嶋慎治(vo, g)、「宇宙からの色」を披露したほか、全7曲を演奏してステージを後にした。続いては女王蜂。怒髪天との共演も、京都でのライヴも初めてというアヴちゃん(vo)。「京都バージンを怒髪天のおじ様たちに見事に捧げることができました!」と語った。キュートなMCとは裏腹に、「イミテヰション」「告げ口」など狂気かつハイテンションなパフォーマンスで圧倒。最後は、「何年も長く続けている人を見ると、私も長く続けていきたいと欲をかいてしまいます」と敬意を表し、「鉄壁」を披露した。トリはもちろん、怒髪天。スカサウンドの「独立!俺キングダム」でアッパーに始まり、「GREAT NUMBER」や「歩きつづけるかぎり」などライブの定番曲から新曲「ひともしごろ」、そして「唐獅子牡丹」といったレア曲など全10曲で盛り上げた。「自分たちで呼んでおきながら、今日はちょっと濃すぎるわ!! 俺たち完全に、普通のおじさんだもんね!」と話す増子直純(vo)の言葉どおり、バンドの個性が激しくぶつかり合う、濃厚な一夜となった。

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 2日目は〈かかってこん会“今昔男歌合戦”〉。熱く激しい男だらけの一夜と思いきや、トップバッターを飾ったのは大西ユカリ。増子も舌を巻くMCで笑いの渦を巻き起こしたかと思えば、「テネシーワルツ」「喝采」など名曲をしっとりと歌い上げ、そのギャップでオーディエンスを引き込んでいく。新曲「肉と肉」の後には、「どしゃぶりの雨の中で」を増子とデュエット。両者ともソウルフルな歌声で魅了した。2番手は〈響都ノ宴〉2年ぶり2回目の出演となるSA。「YOUTH ON YOUR FEET」「KIDZ IGNITE」など全7曲を披露。盤石のパンクロックで有無を言わさず引っ張ってゆき、フロアの人影も塊となって上下左右に激しく揺れ動いた。「怒髪天の武道館に触発されて、SAも(2015年)7月11日(土)に勇気をもって、日比谷野音やります!」とNAOKI(g)の言葉に、会場からは大きな拍手が。最後は「ラバーズ・コンチェルト」の一節を取り入れた「DELIGHT」で大合唱、ワンマンのような一体感を醸成し、ステージを去った。続いてはこの日の最若手バンド、キュウソネコカミが登場。「ウィーアーインディーズバンド!!」から幕を開け、「DQNになりたい、40代で死にたい」「何もない休日」など、パワフルなライヴ・アクトで全7曲をぶちかました。本編を終えると、ヤマサキセイヤ(vo)をメンバー全員が神輿のように担ぎ、フロアを突っ切って退場。そんなパフォーマンスでも沸かせ、存在感を示した。ざわめく会場の余韻を一瞬で吹き飛ばしたのが、日本がほこるスラッシュ・メタルの雄、OUTRAGEだ。「MEGAROMANIA」「YOU SUCK」など、問答無用のステージを展開。まさに“かかってこんかい!”と言わんばかりにオーディエンスにぶつかり、脳天を勝ち割るようなメタル・サウンドでフロアを圧倒した。締めはもちろん、怒髪天。「一番星ブルース」から渋めに始まるも、「押忍讃歌」でぐっと押し上げ、「濁声交響曲」では一体となってのシンガロングと盛り上がった。1日目は時間が押して演奏時間が少なくなり、MC控え目のライヴとなった。それだけに「今日は時間がある!」と笑顔を見せる増子。そして「ユカリ姉さんは(客の心を)もってくね〜! 腕が違う! それからのSAはさすが男前! キュウソみたいなああいう、4つ打ちのビートはいいよね! それからのOUTRAGE先輩! 迫力が違う!」と称えた。アップテンポの「明日への扉」、ぐっと聴かせる「雪割り桜」など、怒髪天の"男唄十八番"とも言える楽曲を中心に全8曲を歌い、アンコールの「美学」では精根尽き果てるまで全開のパフォーマンスで沸かせた。

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 最終日は〈えっ!師走なのに通常営業?〉と題したワンマン・ライヴを。いつもよりスローなアレンジを加えた「北風に吠えろ!」でゆるやかに進水、やがて徐々に速度を上げ、テッパンの「酒燃料爆進曲」、最近ではレアな「愛の嵐」など、拳と拳で呼応する男のサウンドで聴かせた。魑魅魍魎の世界を彷彿させる「DO RORO DERODERO ON DO RORO」では、古い酒蔵を改装した磔磔がさながら魔物屋敷のような雰囲気に。11月にリリースしたばかりの『歌乃誉“白”』からも披露し、「どっこいサバイバー」ではスケールの大きなサウンドで包み込み、これぞ怒髪天の真骨頂、R&Eの決定版「明日の唄」では情感たっぷりに歌い、鳴らし、魅了した。終盤、バンド讃歌「ロックバンドゴーゴー」からは一気にクライマックスへと流れ込み、横揺れ激しい「オトナノススメ」で終幕を迎えた。アンコールでは「今年は30周年で、いい一年を過ごさせてもらった。俺たちのできる恩返しは、バンドを解散しないことだ! これからもいい曲を書いて、みんなが目標を持って何かをやろうとしたときめちゃくちゃ背中押してくから、“あ〜、もうダメだ!!”と思ったときに聴け!! これからも持ちつ持たれつでよろしくお願いします!!!」と増子。結成30周年を記念した1月の日本武道館ライヴに始まり、47都道府県ツアー、そして地元・北海道でのフリー・ライヴ開催など、バンド史上初のビッグ・イベントを数々“クリア”してきた2014年。〈響都ノ宴〉は、そんな1年を締めくくるに相応しい“大感謝祭”となった。

 年内は12月18日(水)の水戸、23日(火・祝)の長野でのワンマン・ライヴのほかに、31日(水)までイベントに出演する怒髪天。年明けからは本当の“通常営業”、1月30日(金)の北海道・札幌市民ホール公演を皮切りに、東名阪を巡る〈2015年新春TOUR“紅白利き歌合戦”〉を決行、31年目のバンド生活を歩み始める。

怒髪天

(文: 岩本和子 / 撮影: 渡邉一生)
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