杉本佳一 2014/12/17掲載(Last Update:14/12/22 23:26)
FourColor、
FilFla、
FONICAといったプロジェクトを主導するほか
minamoのメンバーとしても活動し、近年では昨年リリースされた“Vegpher”名義でのフル・アルバム
『PLUS』が好評の音楽家・
杉本佳一。映画やCMなどへの提供楽曲を多数制作していることでも知られる彼が、演劇のために制作した音楽をコンパイルしたアルバム
『PLAY MUSIC』(2CD HEADZ-201 2,500円 + 税)を初の“杉本佳一”名義で12月17日(水)にリリース。
「A盤」と「B盤」から成る2枚組仕様となっている『PLAY MUSIC』には、
宮沢章夫主宰「遊園地再生事業団」による『トータル・リビング 1986-2011』『夏の終わりの妹』、今野裕一郎主催「バストリオ」の『Rock and Roll あなたにとって大切なのはココロ』『Very Story, Very Hungry』『点滅、発光体、フリー』『グッドバイ』、および〈FESTIVAL / TOKYO 2013〉参加作品として宮沢章夫が演出を手がけたエルフリーデ・イェリネク作『光のない。(プロローグ?)』で使用されたオリジナル劇伴を収録するほか、藤田貴大主宰「マームとジプシー」の『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと―――――』で使用されたFilFla「WST」も収録。演劇ワークを時系列で味わうことができると同時に、杉本佳一がこれまで培ってきた数多のエレメントを内包した音楽作品としても充実の内容となっています。
『PLAY MUSIC』のなかには様々な場所で鳴り響いた音楽があります。
俺にとってはすごく私的なこのアルバム。
聴くたびに、顔、身体、声、運動、物、匂い、光、影、風景、、、そして想いが蘇ってくる。
ほんと、言葉にできないことだらけなんだけど、思い浮かぶのは杉本さんと一緒につくってきた作品のことばかり。
いつだって音楽をかけると、すべてに光が当たるような気持ちがあった。
いい音が溢れています。ジャケットもかわいい。CDっていいなあ。
杉本さん、これからも楽しみましょうね。――今野裕一郎 (演劇作家・映画監督 バストリオ主宰)「WST」を聴いた瞬間、あのころのぼくと、げんざいのぼく、そして、ここにたしかにある空間がつながったのだった。それはぼくしか持つことができなかったはずのぼくの記憶が、ぼくじゃないだれかへ、ひらかれていくようなあたらしい感覚だった。――藤田貴大 (劇作家・演出家・俳優 マームとジプシー主宰) それまで杉本君が演劇についてどんなふうに感じていたかゆっくり話したことがない。演劇のことをよく知っていたのだろうか。そんなふうには見えなかった。けれど、初めからあたりまえのように、「非演劇的」な音楽を作ってくれたのは不思議な気持ちになった。熱心に稽古場に足を運んでくれた。そうした共同作業は必要だとしても、「演劇」という言葉に縛られることで、ややもすると劇的になる可能性はあったはずだが、そんな陥穽からも逃れ、あるいは、そのこと、つまり劇的に、ドラマチックになってしまうことから逃れようと意図するあまり作為的になることもなかった。舞台を前提としなくても充分に成立する場所で、まさに〈音楽〉としてあることが、私の作品にとっても、〈いい音〉として響いた意味ではなかったか。私の作品だけではなく、バストリオや、すでに発表されていた既存の楽曲だったが、マームとジプシーが使用した音楽も、演劇の側がなにかを喚起されている。杉本君の音楽を聴いたから、わたしたちのからだはそのように動いた。いや、それは、音楽にうっとりする俳優が、そのことに酔ってからだを動かす、ばかなあれとはまったくちがう。演劇と音楽のあいだに生まれる特別な関係だ。――宮沢章夫(劇作家・演出家 遊園地再生事業団主宰)