ロン・セクスミス 2004/03/22掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
2002年に発表した前作
『コブルストーン・ランウェイ』(写真)では、変わらず滋味な作風ながらも、ディスコ調の異色曲「ベイ・ストリートの蜻蛉」でもって、じつは太目の体からは想像もできないダンス好きであることも教えてくれたカナダ出身のシンガー・ソングライター、
ロン・セクスミス。その彼の通産7作目となるアルバム『Retriever』が4月に発売されることが決定しました!!
『コブルストーン・ランウェイ』では、スウェーデン出身のマーティン・テレフェ(グレン・スコット、シェイ・シーガーなどの作品を手がけている)をプロデューサーに迎え、ロンドン録音にも挑戦した意欲作でしたが、自分でもそれら選択が好感触だった様子で、今作もマーティンのプロデュースによるロンドン録音。ゲストにはチェット・ベイカーをルーツに持つ英国シンガー・ソングライターの
エド・ハーコートや、
トラヴィスのドラマーであるニール・プリムローズらを起用。滋味なロンの資質をさらに滋味なものへと昇華してくれそうな地味な人選であります。一部楽曲を試聴した感じでは、おおむね前作の路線を踏襲したようなゆったりめの楽曲が並んでいる印象。が、2作続けてのロンドン録音の影響か、持ち前の“ひとりビートルズ”のエッセンスが濃い目になっている気も。そして、明らかに1曲だけ雰囲気の異なった「Whatever It Takes」は、彼が敬愛するミュージシャンのひとりである
ビル・ウィザースへのトリビュートの気持ちを込めた楽曲。ビルの曲をカヴァーしたわけではないものの、なるほど70年代ニュー・ソウルを思わせる曲調は、たしかにビル・ウィザース風。事前に
『スティル・ビル』など、ビルの代表作を聴いておくと、よりこの曲の面白みが増すのではないかと。前作のディスコに続いて、今作ではニュー・ソウル。一貫したスタイルのようでいて、じつは毎回新機軸に挑み、でもそれを強調するわけではないところが、彼の奥ゆかしく愛すべき魅力なのです。
日本盤(TOCP-66288\2,548(税込))も、4月14日に東芝EMIよりコピーコントロール仕様で発売される予定。
また、ロンはNRBQのトリビュート・アルバム『The Q People : a tribute to NRBQ』にも参加しており、こちらはすでに発売中。
ヨ・ラ・テンゴ、
J.マスシス、
ロス・ロボス、
ボニー・レイット、
スティーヴ・アールなど、ロン以外の顔ぶれも最高なので、NRBQファンでなくとも必携でしょう。このトリビュート盤を制作した“
Spirithouse Records”では、同作のジャケットも見られますが、こんな風に子供たちが集まってNRBQのLPを聴いてくれたら(こんな奇跡的な光景は、世界のどこに行けば目にできるのか!!)、きっと世界にはステキな未来が訪れるはず。このニュースを読んだ子持ち音楽マニアは、今日から我が子にロン・セクスミスとNRBQを聴かせましょう。