桁外れの音楽性と超絶技巧――ショパン国際ピアノコンクールで審査員の意見が真っ二つに割れ、その後の活動ではつねに世界中の聴衆から熱い支持を受けてきた異能のピアニスト、
ケマル・ゲキチ(Kemal Gekić)。待望のソロ・アルバム
『In Contrasts(イン・コントラスツ)』(ALCD-9146 2,800円 + 税)が1月7日(水)に発売されます。
ゲキチは1962年クロアチア生まれのピアニスト。1981年リスト国際ピアノコンクールで第2位を獲得したのち、1985年第11回ショパン国際ピアノコンクールにて、そのあまりにも強烈な演奏に審査が分かれたためにゲキチがファイナリストに選ばれず、これに抗議した審査員が次々に審査を辞退するという前代未聞の事件が勃発。会場の聴衆から圧倒的な支持を得たゲキチは、このセンセーションにより一躍世界に名を馳せました。翌年、これも前代未聞ですが、聴衆の強い要望により“幻の最終予選”としてワルシャワ・フィルの定期シリーズに招かれ、コンクール本選と同会場、同オーケストラでゲキチは演奏を披露。ショパンのピアノ協奏曲第1番に続きアンコールはピアノ・ソナタ第3番全楽章、その圧倒的なピアニズムに聴衆は驚嘆し、今や伝説として語られる世紀のコンサートとなりました。
本アルバムは、ゲキチが音楽の核心として敬愛するフランク、現在の拠点であり北米と南米の接点でもあるマイアミの地でゲキチが出会い、魅了されたアルゼンチンのヒナステラとキューバのアレン、そしてゲキチの祖国クロアチアが誇る作曲家パパンドプロによる作品を収録。解説もゲキチみずから執筆しています。ゲキチの音楽観や人生と深く共鳴するこれらの作品たちは、ピアニストの創造性によって独自の生命を獲得し、聴く者の魂を激しく揺さぶります。
ゲキチは
フランツ・リストの言葉に重ねてこう語ります。
「――語る。泣く。歌う。嘆息する。作品に込められた思いに自分自身の内面を重ね合わせながら、演奏家は再創作する」 この言葉のとおり、本アルバムに収められた音楽からは、稀有な才能を持つピアニストの“人生”が聞こえてくるのです。
■2015年1月7日(水)発売
『In Contrasts(イン・コントラスツ)』ALCD-9146 2,800円 + 税
[演奏]
ケマル・ゲキチ(p)
[収録曲]
01〜11. アンドレス・アレン: シルビオ・ロドリゲスの主題による変奏
12〜14. セザール・フランク: 前奏曲、コラールとフーガ FWV21
15〜19. アルベルト・ヒナステラ: 組曲『クレオール舞曲』Op.15
20〜22. セザール・フランク: 前奏曲、アリアと終曲 FWV23
23〜25. ボリス・パパンドプロ: 『8つの練習曲』より3つの練習曲
[録音]
2014年6月5日, 6日 埼玉・彩の国さいたま芸術劇場