サウンドトラックを担当した映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が第87回アカデミー賞(R)で作品賞他最多4部門受賞するなど、前人未到の躍進を続けるトップ・ドラマー、
アントニオ・サンチェス(Antonio Sanchez)。
パット・メセニー・ユニティ・グループのメンバーとしても知られています。さる4月13日(月)に東京 丸の内 COTTON CLUBで開催された記者会見では、
菊地成孔による映画の解説や菊地とサンチェスとの対談が盛り込まれたほか、映画の映像に合わせてサンチェスがその場でドラムを演奏するパフォーマンスが行なわれ、会場をおおいに沸かせました。また、会場には本作のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督による『バベル』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた
菊地凛子も駆けつけ、サンチェスに言葉と花束を贈りました。
『バードマン』との関わりは、2013年1月ごろイニャリトゥ監督から直々にかかってきた1本の電話が始まりだったと振り返ったサンチェス。2度行なわれた録音セッションでは、まず1度目のセッションですべてのシーンを50〜60テイク録り、録音したデモの音源に合わせて撮影が行なわれたあと、その映像+録音を観ながら2度目のセッションで撮りなおすという方法が取られたとのことです。
「ジャズ・ミュージシャンは、バンドのメンバーや、たとえばパット・メセニーといった、周りにリアクションして演奏していく職業です。今回の『バードマン』の場合は、自分が反応していたのはストーリーであり、映像です。だからまったく、自分にとっては同じ感覚でした。即興は考える間もなくリアクションしていく本能、作業です。まさに監督が求めたのはそういうことでした。(監督からは)きっちりオーガナイズされているようなものではなく、もっとジャジーなものをと言われたので、“それならお応えできます”と答えました」とサンチェスが語った『バードマン』。4月10日(金)からTOHOシネマズ シャンテ他で全国上映中です。
また、サンチェスが初めて行なう自身のユニットによる来日公演は4月14日(火)東京・南青山 BLUE NOTE TOKYO、4月15日〈水)〜17日(金)丸の内 COTTON CLUBにて開催。今回のステージは、目覚ましい注目を集めるピアニスト、ジョン・エスクリートを含むカルテット編成です。今回の来日公演についてのサンチェスのコメントは次のとおり。
「今回の来日では、気鋭のミュージシャンと一緒に演奏することができます。楽曲としては、かつてリリースした作品のほか、6月に新しくリリースする新譜の楽曲などを演奏する予定です。じつはその新しい楽曲は『バードマン』に少し影響を受けていて、1カットで続くこの映画の映像のように、1時間も続いていく長い楽曲になっています。エネルギーにあふれダイナミックで、コントラストを楽しめる、クールなバンドだと思うので、ぜひ聴きにきてください」(アントニオ・サンチェス)