2000年10月1日のオープン以来、室内楽を中心に質の高い演奏会を主催してきたトッパンホール。2015年秋に迎える開館15周年シーズン（2015 / 2016）の主催公演のラインナップが発表になりました！区切りの年にふさわしいその内容には例年以上に力がこもっており、錚々たる顔ぶれが並んでいます。

　シーズン開幕を告げる10月1日（木)〜4日（日）の4日間連続で公演を行なうのは、いまや名実ともに現代最高の弦楽四重奏団の地位を確立したハーゲン・クァルテット。“〈トッパンホール15周年 バースデー企画〉ハーゲン･クァルテット モーツァルト・ツィクルス”と題された公演で、ハイドンの弦楽四重奏曲を計9曲演奏するほか、4日（日）の公演ではいまもっとも高く評価されている作曲家のひとりにして名クラリネット奏者でもあるイェルク・ヴィトマンを迎え、モーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲を披露します。


　 10月21日（水）および 10月23日（金）は、日本の音楽シーンに彗星のごとく登場した疾風怒濤のヴァイオリニスト、ジュリアーノ・カルミニョーラによる公演。21日（水）の公演では、タイトル“ジュリアーノ･カルミニョーラ（ヴァイオリン）モダン・ヴァイオリンを弾く！”のとおり、モダン楽器を弾くカルミニョーラが日本ではじめて紹介されます。バロックの印象の強いカルミニョーラがストラヴィンスキーやモーツァルト、シュニトケをモダン楽器で奏でる公演は必聴です。一方、23日（金）の公演は“ジュリアーノ･カルミニョーラ（ヴァイオリン）with ヴェニス･バロック･オーケストラ”と題され、カルミニョーラと併せて名を知られるヴェニス・バロック・オーケストラが登場。もはやカルミニョーラ＆ヴェニス・バロック・オーケストラにとって十八番となった、両者と同郷の作曲家ヴィヴァルディによるヴァイオリン協奏曲や、いまカルミニョーラが熱心に取り組んでいるJ.S.バッハのヴァイオリン協奏曲などが演奏されます。


　年末の押し迫る12月8日（火）には、ヨーロッパ古楽界の最先端をひた走るドイツ古楽界の先駆者のピアニスト、アンドレアス・シュタイアーが登場。トッパンホールが10年にわたり、ほぼ独占するかたちで紹介してきた芸術家です。その中核にあるのが、今回で9回を数える“アンドレアス･シュタイアー プロジェクト”。8日（火）の“アンドレアス･シュタイアー プロジェクト9”では、チェンバロやフォルテピアノではなく、19世紀後半に造られたニューヨーク・スタインウェイが奏でられます。演奏されるのは、シュタイアー得意のシューマン、そしてシューベルトとブラームス。ぬくもりのある独特の音色を持つスタインウェイによる、シュタイアーならではの示唆に富んだ含蓄の深いリサイタルが期待できそうです。


　来年2016年2月16日（火）、18日（木）は、7度の来日を重ねて完結させたベートーヴェン・ソナタ全曲ツィクルスおよびテノール歌手マーク・パドモアとのシューベルト三大歌曲集がいずれも高く評価されているピアニスト、ティル・フェルナーによる“シューマン・プロジェクト”を予定。16日（火）の公演は“〈ウィーンからの風17〉ティル･フェルナー（ピアノ）シューマン プロジェクト I ソロ”で、フェルナーによるピアノ・ソロを楽しめます。18日（木）の公演“〈歌曲（リート）の森〉〜詩と音楽 Gedichte und Musik〜第18篇〈ウィーンからの風18〉ティル･フェルナー（ピアノ）シューマン プロジェクト II with マーク･パドモア（テノール）”ではパドモアが迎えられ、リートの世界が繰り広げられます。


　2016年6月21日（火）に登場するのは、世界のチェロ・シーンを牽引するジャン＝ギアン・ケラス。2001年12月、日本で初となるリサイタルをほかならぬトッパンホールで開きました。“ジャン＝ギアン・ケラス（チェロ） ケラスが弾く20世紀、21世紀―。”と題された公演は、日本デビュー・リサイタルと同様、現代の無伴奏作品によるプログラムの予定です。ラッヘンマンや黛 敏郎、コダーイ、細川俊夫による作品のほか、いまをときめく藤倉大による、ケラスのための“ものすごく難しい”トッパンホール15周年記念委嘱作品（ジャン＝ギアン・ケラスのためのチェロ・ソロ作品）も世界初演で演奏されます。


　上でご紹介した公演以外にも、注目公演目白押しのトッパンホール 開館15周年シーズン（2015 / 2016）。室内楽の殿堂となったトッパンホールが新しい歴史を作り出す瞬間を、ぜひ会場で味わってみませんか？