1983年に出版され〈谷崎潤一郎賞〉を受賞した、芥川賞作家・高井有一による同名小説を原作に、脚本家・
荒井晴彦が18年ぶりに監督をつとめた『この国の空』(8月8日公開)。一般公開に先立ち、7月16日(木)には都内で完成披露試写会が開催。上映前には、本作の主人公である19歳の少女を演じた
二階堂ふみ、隣家に住む妻子持ちの銀行員・市毛役の
長谷川博己、里子の母・蔦絵役の
工藤夕貴、伯母役の
富田靖子、そして荒井監督が登壇し、挨拶を行ないました。
――昭和20年、終戦間近の東京。19歳の里子は母親と杉並区の住宅地に暮らしている。度重なる空襲に怯え、雨が降ると雨水が流れ込んでくる防空壕、日に日に物価は高くなり、まともな食べ物も口には出来ないが、健気に生活している。日に日に戦況が悪化していくなか、里子は男性と結ばれることなく、戦争で死んでいくのだろうか。その不安を抱えながら、市毛の身の回りの世話をすることがだんだん喜びとなり、そしていつしか里子の中の「女」が目覚めていくのだが――。
戦争という時代を、戦場ではなく、庶民の暮らしを繊細にそしてリアルかつ大胆に描かいた物語が展開される『この国の空』。さらに“里子”が朗読するのは、戦後を代表する女流詩人・茨木のり子の『わたしが一番きれいだったとき』。19歳で終戦を迎え、その時の経験を基に書かれたこの詩の世界観が、強くまっすぐな里子の心情と重なり、深い余韻を残しています。
舞台挨拶では、「中学生だった頃、『わたしが一番きれいだったとき』を読んで、これが戦争だったのだなと思った。自分が演じる時には、こういう、肌で感じるようなものをやりたいと思っていました。荒井監督もそう仰られていて、なんだか繋がった気がしました」(二階堂)、「監督が作った台詞がとにかく美しくて。いろんな部分で色んなことを想像させてくれる本だね」(長谷川)と、それぞれコメント。
また、二階堂について長谷川は、「3年前に共演したときよりも大人っぽくなっていて、(本作で共演したことで)成長過程を見れた気がします。里子の子どもっぽさを残しつつも、大人っぽさがある雰囲気。勉強になりました(笑)」と絶賛。二階堂も、「長谷川さんとご一緒できて本当に良かった。色々引き出して頂きました。(役どころが役どころなので)現場では心の距離をとっていましたけどね」と感謝の言葉を口にし、最後は「(私が)19歳の時に演じた、19歳の里子。本作に出会えて良かったです。最後まで、劇場でこの世界観に浸って下さい」(二階堂)と、来場者へメッセージを贈りました。
(C)2015「この国の空」製作委員会