今年デビュー40周年を迎えた
岩崎宏美が、その集大成ともいうべき自身初となるニューヨーク公演を8月6日(現地時間)に開催。35周年の際にはチェコ・プラハでオーケストラとのコンサートを成功させた彼女、今回は親交の深い
大江千里を迎え、ピアノと歌だけのステージに挑みました。
NY公演を行なったマーキン・コンサート・ホールはセントラルパークの西側、マンハッタンのアッパー・ウエスト・サイドに位置。「客席全てを抱きしめられるような、お客様との距離感が素敵なホール」として大江より紹介を受け(大江自身もこのホールで何度かコンサートを行なったことがあるとか)、今回の会場に。
日本からのツアーは即完、会場やオフィシャル・サイトで発売されたチケットも完売と、ニューヨークで働く日本人たちを中心に、幅広い年齢層が集まった客席を前に、ステージは笑顔で登場した大江のピアノでスタート。続いて登場した岩崎に盛大な拍手が贈られると、まずは「万華鏡」。最初のMCでは、「一応アメリカなので、英語のスピーチも準備してまいりました」と英語での挨拶も披露。
「すみれ色の涙」そして「思秋期」と代表曲が続き、マイクをスタンドに替えて手話を交えた「いのちの理由」が終わると、岩崎が敬愛するマイケル・ジャクソン「ベンのテーマ」、「When I Fall In Love」と英語の歌を披露。また、彼女が日本公演で“ファンティーヌ”役を演じていたミュージカル『レ・ミゼラブル』よりアリア「夢やぶれて」と、ピアノと歌だけとは思えないエモーショナルなパフォーマンスが繰り出される。NY在住の子どもたちと共に歌った、日本の童謡「赤とんぼ」「七つの子」では「日本語の美しさ、日本のメロディを聴いて、遠く離れた日本を思い出してくだされば嬉しいです」という言葉を寄せ、客席には一緒にメロディを口ずさむ姿も。
そして「40周年記念ヒットメドレー、NYバージョンです!」の声で始まったヒット・メドレーは、デビュー曲「二重唱(デュエット)」から「シンデレラ・ハネムーン」まで、10分を超える怒涛の展開をみせ、手拍子と声援が飛び交う大盛り上がり。本編ラストのMCでは、「〈まだ走ろうと思うのは 未来の私に出会うため〉デビュー40周年に、今の私の気持ちにピッタリのこんなに素敵な曲に出会いました。40年経っても歌との距離は変わらない。今の方がもっと好きかな」という言葉から、40周年を記念し制作された最新シングル「光の軌跡」へと。
鳴り止まないアンコールの声に応え、再びステージに登場した岩崎と大江。誰もが待ち望んでいた「聖母たちのララバイ」から、大江が作詞・作曲を手がけた「始まりの詩(うた)、あなたへ」。この曲は、能登半島地震復興映画『能登の花嫁』のために大江が書き下ろし、「ぜひ歌わせて欲しい」と申し出た岩崎が2008年にシングルとしてリリースしたもの。大江の伴奏で歌唱するのは今回が初という、岩崎にとっても嬉しいステージを終えると最後は全員で「故郷」を熱唱。感動の一夜は幕を下ろしました。
終演後のインタビューで、岩崎は「凄く長い付き合いだけど、千ちゃんと一緒にステージに立つのは初めて。反省点はいっぱいあるけど、千ちゃんに助けてもらいながら、なんとか楽しいライブをすることができました。NYに引っ張りだしてくれたことに感謝します。私にとって新しい1歩となりました」とコメント。また大江は、「宏美さんのプロフェッショナルと人間くささの両方を感じるステージでした。ジャズをやっていると、どうしても原曲を崩したくなりますが、宏美さんと演奏していたら、ちゃんとオリジナルのメロディやコード進行で演奏する大切さを思い出しました。今回は僕も原点に戻れた気がします」と語りました。
次の海外公演は?という質問に、「いろいろな外国でやりたいという気持ちよりは、これからも日本語を大切に歌いたいと思います。海外にもたくさんの日本の方がいらっしゃるので、そう言う意味ではチャンスがあれば、またチャレンジしてみたいですね」(岩崎)と、笑顔で答えています。