70年代後半にキングレコードが立ち上げたジャズ・レーベル「パドルホイール」。この老舗レーベルが保有する作品から、洋邦問わず厳選された50タイトルが“キング・スーパー・ジャズ・コレクション 50”として、12月9日（水）に新価格（各1,300円 + 税 / 2枚組 2,300円 + 税）となって一挙にリリースされます。ジャズ史を語る上で欠かせない重要アーティストたちによる名演・名録音が、最新リマスタリングにより鮮やかに蘇ります。

　日本で誕生したジャズ・レーベル、パドルホイールは、アコースティック・サウンドを中心に精力的に作品を発表し、1984年にはマンハッタン・ジャズ・クインテットが空前の大ヒットを記録します。日本企画のオリジナル作品にこだわり続け、アート・ブレイキー、マッコイ・タイナー、リー・コニッツらジャズの巨人たちの作品を次々と制作。この当時の彼らは本国アメリカのレーベルから必ずしも優遇されていた時期ではなく、そういう意味でも、貴重な時代の重要作がパドルホイールに残されていきました。

　また海外だけでなく、国内ミュージシャンも積極的に取り上げ、当時“日本ジャズ維新”と呼ばれた若手ミュージシャンたちによるアコースティック・ジャズ再興のムーヴメントにいち早く対応し、大坂昌彦、原 朋直、クリヤ・マコトといった新世代ミュージシャンを取り上げ、国境を横断したレーベルならではの、海外ミュージシャンと対等の立場で制作された菊地雅章の諸作品を世に送り出しました。

　ジャズの歴史のなかで欠落した時代に生まれた名作に、あらためて出会う機会となりそうです。