作曲家 / ピアニストの
新垣 隆が、ゴーストライター騒動から約2年の歳月を経て、交響曲第一番「HIROSHIMA」から約13年ぶりに新しい交響曲「連祷-Litany-」が完成。本交響曲について、8月15日(月)に広島での世界初演および、9月15日(木)に福島でのコンサートが決定しました。
これらのコンサートでは、本交響曲に加え、2016年4月27日(水)に発売された初のソロ・アルバム
『新生』(BMM-0001 2,315円 + 税 / 山野楽器限定販売)に収められたピアノ協奏曲「新生」も新垣自身の独奏で演奏される予定です。
私の中では今、ある種のカオス(混沌)が手応えある重さを伴いながら 広がり始めている。気配が立ち上る。それがやがてどんな風景を私に見せてくれるのか、それはまだ私にもわからない。けれど確実に、私の中では萌芽の兆しがある。
騒動から二年が過ぎた。この間、多く人々が私を支えてくれた。そのような中で曲が生まれ、また音楽の場を皆と共有した。この時間の厚み、重さが私にとってどれだけ掛け替えのないものであるか、測り知れない。そして今、私はあらためてもう一度、オーケストラ曲を書かなければならないと思うようになった。今度は私自身の意志として、私の名に於いて―
テーマは、やはりあらためて広島、そして福島、である。 原爆投下による焦土化から奇跡的な復興を成し遂げた日本は、今度は自らの手によって原子力による惨禍を招いた。ただ私はその状況を直接描くというつもりはない。大きな悲しみ、絶望から小さな、だが確かな希望へ、というプロセスの中で、歴史的な意味を持つふたつの地名が、「暗号」として曲の構造の中に組み込まれるだろう。 そのようにして常に私達の記憶に留めておく、そのように考えている。――作曲家・新垣 隆