飯守泰次郎芸術監督の指揮、ドイツの巨匠ゲッツ・フリードリヒ(Götz Friedrich)演出のプロダクションで昨年スタートし、3年がかりで全4作を上演する東京・渋谷 新国立劇場の大型プロジェクト、
ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』。2016 / 2017シーズンオペラのオープニング公演として、『指環』の第2作にあたる「ワルキューレ」が10月2日(日)〜18日(火)にかけて上演されます。
『ニーベルングの指環』は、ドイツ・オペラの巨匠ワーグナーが26年にわたって創りあげたオペラ史上最大級の作品。ドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』や北欧神話を題材に、ワーグナー自身が台本を手がけました。全体は、序夜「ラインの黄金」、第1日「ワルキューレ」、第2日「ジークフリート」、第3日「神々の黄昏」の4部から成り、上演に4日間、延べ約15時間を要します。ワーグナーは『指環』の理想的な上演のためにバイロイト祝祭劇場を建て、その地で毎年夏に開催される〈バイロイト音楽祭〉は、ワグネリアン(熱狂的なワーグナーファン)の聖地とされています。新国立劇場では、2001〜2004年、2009〜2010年に『指環』を上演しており、今回は新演出での3度目の上演です。
「ワルキューレ」は『指環』全4部作のなかでもっとも人気が高い作品。ジークムントとジークリンデの禁断の愛、ヴォータンと愛娘ブリュンヒルデの永遠の別れなどがドラマティックに描かれます。「ワルキューレの騎行」をはじめ、ジークムントの「冬の嵐は過ぎ去り」「ヴォータンの告別」など、コンサートで演奏される機会の多い有名曲が多数含まれるところも聴きどころです。
悲劇の英雄ジークムントを歌うのは、世界的なヘルデンテノールのステファン・グールド(Stephen Gould)。ジークムント役を舞台で演じるのは初めてとなり、期待が高まります。神々の長ヴォータン役は、今年3月の『サロメ』ヨハナーンの圧倒的な歌唱で聴衆を魅了したグリア・グリムスレイ(Greer Grimsley)。ブリュンヒルデ役は、ワーグナー・ソプラノとして第一線で活躍するイレーネ・テオリン(Iréne Theorin)です。また、ジークリンデ役に期待の若手ジョゼフィーネ・ウェーバー(Josefine Weber)が、そしてフリッカ役には新国立劇場でもおなじみのエレナ・ツィトコーワ(Elena Zhidkova)が迎えられます。