“怪作小説”として改めて注目され、2016年から重版が進み発行部数27万部を記録した作家・
三島由紀夫の「命売ります」(ちくま文庫)が俳優・
中村 蒼の主演により実写ドラマ化。BSジャパンの「連続ドラマJ」枠にて2018年1月から放送されます。
自分の人生の行く先を悟ってしまった男が始めた“命を売ること”が様々な駆け引きを巻き起こしていく「命売ります」。ドラマ版主題歌は、ハードロック・バンドの
人間椅子が書き下ろした同タイトルの新曲に決定。作詞・作曲を手掛けた
和嶋慎治(vo, g)は主題歌のオファーについて「人間椅子には、文芸作品に着想を得た楽曲が数多くあります。三島由紀夫以前と以後では文学の質が変わった、とはよく言われる例えですが、なるほど好みとはいえ僕らの採り上げる小説群も、ほぼ三島以前のものに限られていたりします。そんな僕らが、三島由紀夫原作のドラマに主題歌をつける──この上もない光栄な話だと思いました」とコメント。
主題歌について和嶋は「気をつけたのは、読書感想文のようにならないようにすること。原作の持つ厭世観、一度は捨てたはずの命が惜しくなるところ、あるいは本当には生きていないかもしれない主人公の前半生……それらをどうエッセンスとして表すか。結果的に、不協和音とアップテンポで焦燥感を、リズムチェンジで捨て鉢感を、歌詞の面では命の大切さを問う形でまとめてみました」と語っており、さらに「(主人公である)羽仁男のある種リアリティのない生活は、21世紀の今こそ共感を呼ぶものかもしれません。放映が今から楽しみです」とメッセージを寄せています。
人間椅子は、2017年11月に通算20枚目のオリジナル・アルバム『
異次元からの咆哮』をリリース。これを記念して行われたワンマン・ツアーから、ファイナルとなった東京・お台場 Zepp DiverCity Tokyoでのライヴ映像「異端者の悲しみ」をYouTubeにて公開。また、2018年1月22日(月)には
DOOMを迎えたライヴ・イベント〈人間椅子提供 地獄の感謝祭〜第一弾〉を渋谷 TSUTAYA 0-WESTで行うことも決定しています。
この作品の主題歌をどんなミュージシャンにお願いするかと考えた時、真っ先に思い浮かんだのはイカ天時代からファンでもある人間椅子でした。
イカ天時代の江戸川乱歩「陰獣」やデビュー曲の太宰治「人間失格」などのラインナップがあるため、三島由紀夫「命売ります」もあるかと調べましたがありませんでした。
放送までの時間的余裕も無い中、楽曲の書き下ろしの依頼をダメもとで打診してみました。
しかし、新アルバムのリリースタイミングでもなく、またツアー真っ只中でもあるため、あきらめようと思う中、直接ギターの和嶋さんと会える機会がありました。
そこで企画内容を説明し相談してみると、和嶋さんは「我々がやらなくて誰がやる」
とおっしゃって引き受けてくれました。
スケジュール的にもとても大変だったと思います。しかし、あがってきた楽曲にはぶっ飛びました。
予想をはるかに超えるヘヴィさとスピード感。そして独特の歌詞と呪文のようなフレーズ。
まさに人間椅子。「この作品で人間椅子に頼まず誰に頼む!」と痛感しました。――連続ドラマJ 三島由紀夫「命売ります」 / 森田 昇プロデューサー