20世紀以降の“現在(いま)”の作品を取り上げる東京の現代音楽の祭典として、サントリーホール開館翌年の1987年夏より親しまれてきた〈サントリー音楽財団 サマーフェスティバル〉。31周年を迎える今年からは、サントリーホールが主催する〈サントリーホール サマーフェスティバル〉として、8月22日(水)〜9月1日(土)にかけて開催されます。
2013年にスタートした“ザ・プロデューサー・シリーズ”は、その年ごとに代わるプロデューサーが独自の視点で現代音楽を切り取り、作品を紹介するという企画。今年はピアニスト / 指揮者 / 作曲家などさまざまな顔を持つ
野平一郎が、自身のルーツでもある現代フランス音楽の回顧と未来の系譜をたどります。2016年に亡くなった
ピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez)の『プリ・スロン・プリ』や、原作台本・野平多美とのコンビによる書き下ろしの新作オペラ『亡命』の英語上演も注目を浴びています。
“国際作曲委嘱シリーズ”は、コンサートホールが鑑賞の場にとどまらず“創造空間となること”を目指し、サントリーホールが開館した1986年10月に
武満 徹の提唱により始まったもの。世界の第一線で活躍する作曲家に焦点をあて、管弦楽作品を委嘱するとともに、室内楽作品や影響を受けた作曲家を取り上げます。同シリーズ監修者の
細川俊夫が選んだ今年のテーマ作曲家は、クラリネット奏者 / 指揮者 / 作曲家として活動する
イェルク・ヴィトマン(Jörg Widmann)。ヴァイオリニストの妹カロリン・ヴィトマン(Carolin Widmann)のためのヴァイオリン協奏曲第2番が世界初演されるほか、イェルク・ヴィトマン自身も指揮とクラリネット演奏で出演します。
“芥川作曲賞”は、戦後の日本の音楽界の発展に多大なる貢献をした
芥川也寸志の功績を記念し、1990年に創設された作曲賞。前年(1月〜12月)に国内外で初演された日本人新進作曲家による管弦楽曲から選ばれた3曲を再演し、そのなかの1作品に賞が贈られます。賞金は50万円で、受賞者には新しい管弦楽曲の作曲が委嘱されます。今年の選考委員は鈴木純明、野平一郎、菱沼尚子の3名が務めており、譜面・録音による第一次選考を経て、岸野末利加、久保哲朗、坂田直樹の作品が選定されました。第26回受賞者である渡辺裕紀子の委嘱作品の初演の後、候補作品が演奏され、公開選考会と贈賞式が行なわれます。