インドの西ベンガル州およびバングラデシュ(ベンガル地方)の遊行の業者で、放浪の吟遊詩人とも呼ばれるバウル。起源は8世紀の仏教の遊行者にまでさかのぼり、2005年にはUNESCOの世界無形文化遺産にも登録された、このバウルの現在もっとも知られる存在であるパルバティ・バウル(Parvathy Baul)が、2018年6月5日に岐阜・郡上八幡安養寺で
土取利行と行なったライヴの模様を収録するアルバム『
ポロシュポル』(CD SAKH-002 2,000円 + 税)が7月7日(日)に発売されます。
アルバム・タイトルになっている“ポロシュポル”とは、ベンガル語で“お互いに”を意味する言葉です。右手で一弦琴エクタラを弾きながら、左手で腰に結わい付けた小鼓ドゥギを叩き、足首の鈴飾りヌプルでステップを取りながら舞い歌うパルバティと、パーカッション奏者である土取の2人は、息の合った演奏を披露。パートナーだった故・
桃山晴衣が節付けした12世紀の今様〈梁塵秘抄〉を土取が歌い、8世紀から12世紀に編纂された仏教歌〈チャリャー・ギーティ〉の世界をバルバティが歌っています。
シンガーの
松田美緒はCDのライナーノーツで「世界中にある人間の喜怒哀楽の歌とは別の次元を見せられてしまったのだ。それは天界のありがたい宗教音楽でもない。ましてや〈祈り〉や〈宗教〉という言葉も表面的に思えてくる。きれいごとでない生身の存在が、無限に達するための歌だ」と書いています。