BABYMETALが、約3年半ぶりとなる全世界同時リリースの3rdアルバム『METAL GALAXY』(
初回生産限定 SUN盤 2CD TFCC-86684 4,500円 + 税 /
初回生産限定 MOON盤 2CD TFCC-86685 4,500円 + 税 /
初回生産限定盤 2CD + DVD TFCC-86686 4,200円 + 税 /
通常盤 2CD TFCC-86687 3,500円 + 税 / メンバーズサイト“- THE ONE -”会員限定 THE ONE盤 - THE ONE Limited Edition - 2CD + DVD ONEC-0012 9,000円 + 税 / アナログ盤 2vinyl TFJC-38037 5,000円 + 税)の発売日となった現地時間10月11日(日本時間10月12日)に、アメリカでは初のアリーナ公演となる〈BABYMETAL METAL GALAXY WORLD TOUR LIVE AT THE FORUM〉を米・ロサンゼルス MSG Live and the Forumにて開催しました。
これまでにロック・ポップスの錚々たるアーティストがライヴを行ってきた歴史的な会場であるThe Forum。ソールドアウトし熱気あふれる中、発売されたばかりの新作アルバムから「Shanti Shanti Shanti」「PA PA YA!!(feat. F.HERO)」など全15曲を披露しました。ワイドスクリーンを背にしたステージと移動式センターステージをフルに使い“メタルの銀河”の世界観を作り上げた演出は見事。ライヴ序盤からファンを虜にします。また1曲ごとに演奏が始まるたび歓声が沸き起こり、手を大きく掲げたりアリーナでは何度もモッシュが起こったりするなど、圧巻のショウを見せつけた記念すべき夜となりました。
また、アルバム発売日となった11日(金)には、iTunesメタルチャートやロックチャートではアメリカ、イギリス、日本をはじめ、フランス、ドイツ、スウェーデンなどで1位を記録し、さらにアルバム総合チャートでもアメリカ、イギリス、日本で最高2位を記録しているほか世界各国でも上位にチャートインするなど、今作も世界各国で好調なスタートをきっています。
なお、UK出身のロック・バンド、ブリング・ミー・ザ・ホライズンをゲストに迎えるワールドツアー日本公演(11月16日(土)、17日(日)埼玉・さいたまスーパーアリーナ、11月20日(水)、21日(木)大阪・大阪城ホール)は即ソールドアウトし、2020年1月25日(土)、26日(日)には千葉・幕張メッセ 国際展示場にて〈METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY〉を開催することも決定しています。
Photo: Taku Fujii[ライヴ・レポート] マディソン・スクエア ・ガーデン・カンパニー(MSG)が最大キャパ17500を誇るthe Forumを買収し、改修費に約60億円をかけてコンサートやライヴに適した会場へと変貌を遂げ再オープンしたのが2014年1月のこと。当時はグランド・リオープニングを記念してイーグルズによるライヴが6日間開催され、現在もThe ForumではU2をはじめワールドクラスのミュージシャン、パフォーマーによるイベントが頻繁に行われている。大規模な改装により音質が断然に良くなったことから、“音”にこだわる多くのミュージシャンの支持を受けるこの格式高い会場で、実はBABYMETALは、2年前の6月にすでにライヴを行っていた。サポート・ゲストで出演したKornのUSツアーに帯同し、同会場にて堂々と6曲のパフォーマンスを披露しているのである。筆者はそのライヴも生で観覧したが、ドーム型の高い天井は音の抜けが抜群で、ヴォーカル・SU-METALのクリアな歌声が爆音の中どこまでも突き抜けていたのを記憶している。そのときは帯同ではなく、いずれこの大きな会場でワンマン・ライヴを開催してほしいと密かに願ったものだが、それからわずか2年あまりで、実際に単独公演が行われることになった。その発表が行われた際には身震いしながら“遂に!”と歓喜したが、同時に2014年以来、毎年コツコツと東海岸、西海岸ばかりではなく、中西部、南部も含めた全米各地をくまなくツアーで回ってきた、地に足を付けた堅実な活動による成果なんだという思いが胸中に飛来してきたので、否応なく“チームBABYMETAL”に対する尊敬の念を抱かずにはいられなかった。
ソールドアウトした会場には、小さな子供連れの親子、コスプレ姿の女性、タトゥーを入れた屈強なメタラー、若いカップル、初老の男性・女性など多くの老若男女が集まっている。開演前にはどこからともなく“BABYMETAL”コールが発生し、またオーディエンスが自主的にスマホのライトを点灯するなどして盛り上がり、場内の熱気はぐんぐん上昇していった。そうしてライヴに対する期待値がかなり高まったところで暗転。刹那、怒号のような歓声が耳をつんざいた。多くのアメリカ人がBABYMETALの登場を心底待ちわびていたことが見て取れる瞬間だった。
ライヴは3rdアルバム『METAL GALAXY』Disc1の曲順に倣ってスタート。「FUTURE METAL」の“We are on an odyssey to the BABYMETA. Welcome to the world of BABYMETAL”で出迎えられた観客が最初に大きな歓声を上げたのが、ステージの背後に設置された高画質LEDワイドスクリーンに映る映像。そこには、3rdアルバムのSUN盤とMOON盤のジャケット・ヴィジュアルがレーザーによって精密に、立体的に映し出され、最後にBABYMETALのロゴがこれまた精密に描画された。大画面なのに滑らかに映る高画質映像に度肝を抜かれたオーディエンスに対し、BABYMETALは実質1番目の曲に惜しみなく新曲の「DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)」を投入。ユーロビート調の軽快なリズムに乗せてSU-METALが歌い、MOAMETALと“アベンジャーズ”と呼ばれるサポート・ダンサーが移動式のセンターステージで躍動すると場内は早くも興奮の坩堝と化した。
続く「メギツネ」の間奏でSU-METALが嬉々として“Hey!Forum!”と煽ると場内の熱気はさらにヒートアップ。直後に観客が一斉にジャンプして踊り狂う様は壮観だった。一転、「Elevator Girl」「Shanti Shanti Shanti」では、指先の動きまでが美しいその洗練されたダンス・ルーティンに魅了され、観客はステージの3人に釘付けとなった。時折エフェクトもかかる、背後に映るビジョンの映像が、元からシアトリカルなBABYMETALのショーを鮮やかに彩っている。演奏を担う神バンドのタイトなソロを挟んでからの「Kagerou」も見惚れるほどのクオリティ。フロアにはモッシュ・ピットも形成され、曲が進むに連れ多くの者がライヴにのめり込んでいった。
幾つも伸びるレーザー光線の美しい演出が行われる中、次に披露されたのは「Starlight」。出だしのSU-METALの力強い高音ヴォイスには、まるでこの世にうごめく邪気すべてを消し去るかのような清純さが宿っており、その荘厳さに思わず身震いをしてしまうほど。美しいコーラスワークとジェント独特の低音の響きが心地よく、多くの観客は身を委ねるようにしてパフォーマンスに心酔している。方や、続けて「ギミチョコ!!」が披露された際にはイントロから場内は大歓声。知名度の高さは抜群の同曲。最初から最後までピットでは連続してモッシュが発生し、堂々たる体躯のアメリカ人たちがまるで子供のような無邪気な笑みを浮かべて何度も体をぶつけ合っている様子は見ていて嬉しく思えた。
場内の興奮が冷めやらないうちに「PA PA YA!!(feat. F.HERO)」が始まると、ピットの観客は待ってましたとばかりにさらに熱狂。ある者はタオルを振り回し、ある者は手をぐるぐると回し、まさにお祭りといった具合に騒いでいる。ホール内の熱量はその後も持続し、「Distortion(feat. Alissa White-Gluz)」ではまたもやモッシュが発生。これはさすがにセキュリティに止められたが、興奮のあまりサーフをする者も何人か現れた。続けざまに「KARATE」が披露されると、観客はグルーヴを感じながら全身を揺らしてこのエモーショナルな曲に没入。SU-METALがMOAMETALとサポート・ダンサーの2人を助け起こすという間奏のシーンでは歓声が何度も沸き、直後のサビでは自発的に大きくジャンプをする観客が続出。最後のSU-METALの渾身のロングトーンはホールの空間をきれいに真っ二つに切り裂いていくかのような凄みがあった。
次に「ヘドバンギャー!!」が披露されるとここでも大きな歓声が沸いた。単純に好きな曲だから大声を張っているだけなのかもしれないが、初期の楽曲に対するリスペクトのような感情が吐き出されているようにも感じ取れた。そして本編の最後を飾るのはアンセム「Road of Resistance」。冒頭では大きな“Wall of Death”が起こり、その後はサークルモッシュが頻繁に発生。多くの外国人たちが笑顔で走り回っている。SU-METALの渾身の歌唱、MOAMETALとサポート・ダンサーによる力強いパフォーマンスで場内の興奮はピークを迎え、間奏では大勢による“WOW WOW”のシンガロングが場内の空気を震わせた。それから恒例の“We are?”“BABYMETAL!”コールで本編は大盛況のもと終了。少しの時間を置いてからストーリームービーの進行で始まったアンコールでは、新曲の「Shine」と「Arkadia」が続けて披露されたが、前者ではコンテンポラリー・ダンスのような情熱的なダンス、感情豊かに丁寧に歌い上げる歌唱、ソリッドに奏でられる壮大な楽曲は観る者の耳目を集め、後者ではメロディック・スピード・メタルの美しい旋律と怒涛のブラストビートに乗るSU-METALの力強くも美しい歌唱、MOAMETALとサポート・ダンサーによるドラマチックなダンスが多くの観客を魅了した。最後にSU-METALが“今日は会いに来てくれてありがとう”と英語で感謝の意を伝えると、場内からは割れんばかりの歓声と拍手が沸き起こった。こうして圧倒的なライヴで参加した観客を虜にして、BABYMETAL初のアメリカでのアリーナ公演は幕を閉じた。
神バンドのラウドなのにタイトな演奏パフォーマンスをバックに鉄壁に展開されるシアトリカルなBABYMETALのライヴショウは、パイロやレーザー、白煙などの演出効果とうまく溶け合い、いつだって劇場型のスペクタクルへと変貌するが、高画質LEDのワイドスクリーンを用い、最先端の技術を駆使した映像演出を加味した本公演はまさに“極上のライヴエンターテインメントショウ”で、世界的に見ても、ライヴの在り様を一段上に昇華させたような印象を受けた。今夜訪れた観客のほとんどは文句なしに大満足したことだろうと思う。それだけ見応えのあるアリーナ・メタル・ショウだったが、特筆すべきは、主役はあくまでもサポート・ダンサーを含めたフロントの3人であるということ。今宵のライヴは、バックダンサーを多く揃え豪華にショウアップされたわけではなく、純粋に3人のパフォーマンスで勝負に挑み、見事に観客の支持を得、大喝采を浴びた。3人はプレッシャーに打ち勝ち、ライヴを大成功へと導いたのだ。レポートの冒頭で、本公演の開催は数年に亘るアメリカ・ツアーによってもたらされた“地に足を付けた堅実な活動による成果”と記したが、もちろん本公演がゴールでないことはBABYMETALの2人はわかっている。今見終えたばかりだというのに、次はいったいどんな展開、どんなショウを見せてくれるのかという期待がすでに膨らみつつある。“We are on an odyssey to the BABYMETL”。これからも道なき道を進むBABYMETALの“METAL GALAXY”の旅に乗らないという選択肢はない。
文 / teri