経済破綻状態にあった1970年代のイギリスで、市民が抱いていた怒りは第2次世界大戦後に増加した移民たちに向けられました。街は暴力であふれ、黒人やアジア人が襲われるなか、レッド・ソーンダズを中心に発足した「ロック・アゲインスト・レイシズム(RAR)」は、人種や生まれによる差別の撤廃を主張。
ザ・クラッシュをはじめ、
トム・ロビンソン、
スティール・パルス等の音楽と結びつき、支持されます。その活動を、貴重なアーカイヴと本人たちへのインタビュー、アーティストのパフォーマンス映像で追ったドキュメンタリー映画「白い暴動」が、4月3日(金)より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、東京・アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次ロードショーされます。
映画のクライマックスを飾る、1978年4月30日に行われた約10万人による大規模なデモ行進と、その終着地となった英ロンドン東部のヴィクトリア公園で開催された野外コンサートの映像は、観る者の心を揺さぶるはず。タイトルの「
白い暴動」はザ・クラッシュが1977年に発表したデビュー・シングルで、1976年に起きた黒人によるノッティングヒル・カーニバルの暴動に接して
ジョー・ストラマーと
ミック・ジョーンズが書き上げた曲名からとられています。
監督はBBCのドキュメンタリー番組や、2015年には「Let's Dance: Bowie Down Under」を手がけたルビカ・シャー。アジア系移民の家に生まれたシャーは、両親が直面した人種差別を聞き、この映画の製作を決意しました。