新型コロナウィルスの影響を受け、100年以上続く歴史のなかで史上3度目、戦後では初の本大会中止を余儀なくされ、地方予選大会が各都道府県独自の大会へと切り替わるなど、国民的行事とも呼ばれる“夏の風物詩”夏の甲子園大会が観られない異例の事態に見舞われている高校野球界。その状況を鑑み、“今年は映画館で甲子園を。”をテーマに、高校野球を題材にした記録映画2本の連続公開が決定。8月14日(金)に巨匠・
市川 崑監督が第50回記念大会を圧倒的なスケールで映画化し、1968年9月に劇場公開された『
第50回全国高校野球選手権大会 青春』が、続いて8月21日(金)に、第100回記念大会出場を目指す球児たちとその指導者を追った『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』が劇場公開となります。
『第50回全国高校野球選手権大会 青春』は、当時アメリカの施政下にあった沖縄を含む48代表校で争われ、のちに
読売ジャイアンツや横浜大洋(現・横浜DeNAベイスターズ)、福岡ダイエー(現・
福岡ソフトバンクホークス)、ヤクルト(現・東京ヤクルトスワローズ)などで活躍した新浦壽夫擁する静岡商業を初出場の大阪・興国高校が僅差で初優勝を成し遂げた1968年の全国高校野球選手権大会の開催50回を記念して企画・製作され、甲子園を目標にした選手たちの青春を描いた“幻の傑作”と語り継がれる作品です。
一方、『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』は、「高校野球という日本独自の文化を海外に紹介したい」という願いから日米の国際共同制作作品として誕生し、海外に先駆け放送されて大きな反響を呼んだNHKのドキュメンタリー番組「ノーナレ 遥かなる甲子園」(2018年)、「HOME 我が愛しの甲子園」(2019年)で描き切ることができなかった部分まで掘り下げ、高校野球の魅力を詰めた長編作品で、監督は米ニューヨークを拠点に活躍する若き女性映像作家の
山崎エマが務めています。100回記念大会へ挑む激戦区神奈川県の雄・横浜隼人高校と、メジャーリーガーとして活躍する
大谷翔平や
菊池雄星を輩出した岩手県・花巻東高校の球児とその指導者へ1年間にわたる長期取材を、高校野球を題材にしたドキュメンタリーとしては稀となる、監督を含めたアメリカの撮影クルーで制作したという点も特色。2019年11月にアメリカ最高峰のドキュメンタリー映画祭〈DOC NYC〉にてワールドプレミア上映、2020年6月にアメリカ最大級のスポーツ専門チャンネル「ESPN」にて全米放送されると、日本人メジャーリーガーたちの“原点”を描いた作品として、また、自称“昭和の頑固オヤジ”として勝つことのみならず、挨拶や掃除などを徹底した人間形成を重要視する水谷哲也監督が指揮する横浜隼人高校と、水谷を恩師とする佐々木 洋監督率いる花巻東高校とを対比させ、高校野球を“日本社会の縮図”と位置づけながら、変わりゆく時代の空気をも切り取る山崎監督ならではの視点とその手腕に、野球大国のアメリカ全土で高い関心と大きな話題を集めました。
山崎監督は「〈高校野球という日本独特の文化を、世界の人たちに知ってもらいたい〉という思いで始動したこのプロジェクト。ニューヨークの映画祭や全米放送後に、甲子園のことを初めて知ったアメリカ人たちが“KOSHIEN”に興奮し語り合う様子に感銘を受けました。そんな本作が、日本の皆様にもお届けできる機会を頂き、感無量です。100年以上にわたって培った伝統と、時代に伴う変化が用いられる高校野球の現場には、次世代を育てる責任と向き合う指導者たちと、青春の全てを捧げる球児たちの姿がありました。夏の甲子園100回大会の年に撮影した本作に出演した当時の1年生は、今年の3年生で、辛い思いを秘めて最後の夏を過ごしていると思います。2020年、パンデミックの影響で春と夏の甲子園が中止される特別な年に、巨匠・市川 崑監督が夏の甲子園50回大会を捉えた名作『青春』と共に、また高校野球が本来の姿を取り戻すまでの“繋ぎ”の一つとして、そして今一度この日本の風物詩を見つめ考える機会として、本作が役に立てばと願っています。全国の球児や関係者の方々にとっても、少しでも前に進むパワーの源にして頂ければ幸いです」とメッセージを寄せています。
巨匠が遺した“幻の傑作”と若き女性監督が世界に伝えた“高校野球のいま”を通じて、時代が変わろうとも守り続けるべき高校野球の“伝統”と移りゆく時代と共に変えるべき高校野球の“革新”の両側面から高校野球の魅力を追体験できる、貴重な機会になりそうです。『第50回全国高校野球選手権大会 青春』は8月14日(金)より、『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』は8月21日(金)より、それぞれ東京・銀座 丸の内TOEI、東京・渋谷 アップリンク渋谷ほかにて全国順次公開。上映劇場や日程などの詳細は、各オフィシャル・サイト等でご確認ください。