2005/04/22掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
『24アワー・パーティー・ピープル』 『めぐり逢う大地』 『CODE46』など、音楽映画、文芸もの、SFと1作ごとにジャンルを変え、かつ駄作がひとつもないという映画職人、
マイケル・ウィンターボトム。彼の新作『9 Songs』(配給:ファインフィルムズ)は、音楽ファン必見の一風変わった恋愛映画となっています。
「主人公の男は、雪に閉ざされた北極で、ひとりの女のことを想った。彼女は、アメリカの学生でロンドンを訪れていた。ふたりは、
ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブのライヴで出会い、恋に落ちた。幾度となく愛を交わし、夜ごとライヴに繰り出す。しかし、女はアメリカに帰国することになる。ふたりはあっけなく別れ、北極にやってきた男は想い出す。女の肌と、一緒に行ったライヴのことを」
カメラはふたりの愛の営みとさまざまなアーティストのライヴ・シーンが交互に映し出してゆきます。
そしてこの、ふたりが行なったライヴ・シーンこそ、音楽ファンには見逃せないのです。
プライマル・スクリーム(写真右下)、
フランツ・フェルディナンド、
スーパー・ファーリー・アニマルズ、
ザ・ダンディ・ウォーホルズ、ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ、
エルボーに
マイケル・ナイマン……こんな豪華な面々のライヴが一気に観れちゃうのだから、UKロック・ファンにはたまらないですよね(しかも唯一男ひとりで観に行くのがSFAというがちょっと可笑しい)。
また、あまりにセクシュアルなため世界各地で波紋を呼んだセックス描写も、エグイというより、ノーブルでワイルド、人間的な美しさを湛えたものだ。
なにか劇的なことが起こるわけでもなく、セックスと音楽、ただそれだけのことなのに、すっとその世界へ入り込んでいってしまう、なんとも居心地のよい素敵な映画に仕上がっています。
映画ファンはもとより、ふだん映画に興味がないけど、なんてUKロック・ファンもぜひ注目してみてください。日本公開はもうすぐ、4月30日より、東京・渋谷シネアミューズにて、レイトショーです!!
●『9 Songs』('04英)
【配給】 ファインフィルムズ、ギャガ
【公開】 4月30日、東京渋谷シネアミューズ)
【監督】 マイケル・ウィンターボトム
【出演】
キーラン・オブライアン/マルゴ・ティスリー/プライマル・スクリーム/フランツ・フェルディナンド/マイケル・ナイマン/エルボー/ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ/ダンディ・ウォーホールズ/スーパー・ファーリー・アニマルズ