菊地成孔と
ペペ・トルメント・アスカラールのコンサート〈菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール コンサート 2020 〉が11月18日(水)に東京・赤坂 サントリーホールにて開催されます。
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールは、菊地のサックス、ヴォーカル、コンダクトに加えて、バンドネオンやストリングスが入っている総勢11名編成のバンド。菊地のソロ・アルバム『
南米のエリザベス・テーラー』の世界観をライヴで再現するために結成された、世界でも類例のない超混血系オルケスタです。結成15周年を迎えた今年、キャリア史上初となるサントリーホールで、一夜限りの公演を行ないます。チケットは、9月26日(土)10:00から各プレイガイドにて先行販売を実施します。
[コメント]私がこの楽団を結成したのは2005年の事です。私の2枚目のソロアルバム『南米のエリザベス・テーラー』は、今は亡き「エスクァイア日本版」のジャーナリストとして、ブエノスアイレスにアルゼンチンタンゴの取材に行き、世界三大オペラハウスのひとつ「コロン劇場」でジャケット撮影をし、アルバムの着想を得てからパリに移動し、いくつかのトラックをパリで録音してから、東京に戻り、録音、編集を繰り返して制作された、つまりは3大陸をまたいだ混血的な作品でしたが、ステージでアルバムの再現的な演奏をするには、グランハープ、弦楽四重奏団、パーカッション2式、グランドピアノ、ウッドベース、バンドネオンが必要なことから、楽団として恒常的に活動できるなどとは露とも思わず、一度限りのお披露目用、特別編成のオルケスタとして、代官山のリキッドルームというクラブで初演を果たしましたが、幸いなことに御高評を賜り、気がつけば正式な楽団としての活動は15年が経っていました。世界中が混乱し、特に我が国のGDPが戦後最低にまで堕ちたその時に、クラシック界の殿堂、サントリーホール公演が決定した時には、嬉しいというより、世の混乱ぶりに舞い上がるような興奮を覚えました。混乱の産物とはいえ、サントリーホール様の舞台に立てることを誇りに思い、乱世に感謝を捧げたいと思います。――菊地成孔