『
スターリンの葬送狂騒曲 』の
アーマンド・イアヌッチ 監督が『
LION / ライオン〜25年目のただいま〜 』でアカデミー賞にノミネートされた名優
デヴ・パテル を迎え、イギリスの文豪ディケンズの自伝的傑作小説『デイヴィッド・コパフィールド』を映画化した『どん底作家の人生に幸あれ!』が、1月22日(金)より東京・TOHOシネマズ シャンテ、東京・シネマカリテほかにて全国ロードショー。主人公の人生が激変する本編シーンが公開され、さらにイギリス在住のブレイディみかこより絶賛コメントが到着しています。
長年ディケンズのファンを公言する『スターリンの葬送狂騒曲』の鬼才アーマンド・イアヌッチ監督が、めまぐるしく変転する主人公の波乱万丈の半生を、現実の悲壮感をブラックな笑いで包みながら、ウィットに飛んだ数々の台詞と時にファンタジックな映像も交えて、鮮やかな手腕で紡いでいった本作。
今回、公開となる本編映像は、不遇な過去を忘れ、ロンドンでの新生活を送るデイヴィッドが一目で恋に落ちた令嬢ドーラに意を決してプロポーズしようするシーン。しかしドーラは「率直な話し方は嫌いよ。ジップに喋らせて」と、なんと愛犬ジップをデイヴィッドに差し出します。戸惑いながらも声色を変えて犬を片手に「君に会うたび、喜びに酔いしれる」と必死になってロマンティックな言葉を話し始めるデイヴィッドの姿がなんともおかしい。そしてついにポケットにしのばせた指輪を手にひざまずいてプロポーズをしようとした瞬間、下宿先に至急戻るようにと大家からの呼び出しが入ってしまいます。不安な表情で戻るとそこには後見人の叔母のベッツィ(
ティルダ・スウィントン )とミスター・ディック(
ヒュー・ローリー )の姿があり、「破滅したの」との驚きの言葉が。プロポーズという人生の幸せな瞬間から一転、貧しい生活に逆戻りしてしまう主人公デイヴィッドの波乱万丈で数奇な運命を象徴するような場面を、名優デヴ・パテルがユーモアと悲哀たっぷりに演じています。
さらに、英国在住のライター / コラムニストのブレイディみかこから絶賛コメントが到着。2019年、優等生の「ぼく」が通う人種も貧富の差も様々な元・底辺中学校での生活を通し、英国社会の縮図のような日常を描いた『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で第73回毎日出版文化賞特別賞受賞、第2回Yahoo! ニュース / 本屋大賞ノンフィクション本大賞などを受賞したことでも知られるブレイディみかこ。昨2020年末には「VOGUE JAPAN Women of the Year」を大坂なおみ、
小松菜奈 、
田中みな実 、
NiziU らとともに受賞したことでも話題となりました。
今回本作を公開に先駆けて鑑賞したブレイディみかこは、まず「マイケル・ウィンターボトムの映画やモンティ・パイソンが好きな人はきっと気に入るだろう」と語り、さらに英国社会の現状にも照らし合わせながら、「階級を行き来する長い旅路の果てに、主人公が子どもの頃の自分に言う言葉は、コロナ禍という長いトンネルの中にいる私たちにも勇気を与えてくれるものだった」と本作の中でデイヴィッドが語る言葉を表していいます。
[コメント] 古典を大胆な手法で語り直すのは、英国のお家芸だ。伝統と革新。彼らの中ではこの2つは矛盾しない。現代の英国社会の多様性を反映するキャスティングでディケンズの名作を撮り直した本作も、その王道を行っている。 マイケル・ウィンターボトムの映画やモンティ・パイソンが好きな人はきっと気に入るだろう本作は、『スターリンの葬送狂騒曲』のイアヌッチ監督の作品だが、今回はずっとジェントルでやさしい。ああいう人も、こういう人も、現代の英国にもいるなと思いながら見た。そして気づいたのである。「まるでヴィクトリア朝時代に戻ったみたい」と言われるこの格差と貧困の時代に、『デイヴィッド・コッパフィールド』を撮り直すことそれ自体が、たいそうシャープな皮肉ではないかと。 階級を行き来する長い旅路の果てに、主人公が子どもの頃の自分に言う言葉は、コロナ禍という長いトンネルの中にいる私たちにも勇気を与えてくれるものだった。 ――ブレイディみかこ(ライター / コラムニスト) VIDEO
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