ベルギーの指揮者でバッハ研究の一人者としても知られる
フィリップ・ヘレヴェッヘが、
コレギウム・ヴォカーレ・ヘント、
ドロテー・ミールズ(S)、
アレックス・ポッター(A)、トーマス・ホッブズ(T)、
ペーター・コーイ(Bs)とともに録音した『バッハ:教会カンタータBWV45&198、モテットBWV118』を3月6日(土)に発表します。ヘレヴェッヘが「哀悼頌歌」の名で知られる「教会カンタータ〈候妃よ、さらに一条の光を〉BWV198」を録音するのは1987年以来、じつに33年ぶり。録音は2020年1月にオランダ・アムステルダム“ワロン教会”で行なわれました。
1727年、欧州最高の宮廷楽団の主たるザクセン選帝侯の妃君が亡くなったことを悼んで書かれた「哀悼頌歌」は、それぞれ一対のヴィオラ・ダ・ガンバやリュート、フルート、オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリンなどの活躍が随所で興味深い効果をあげる充実作です。今回は大御所
マルセル・ポンセール(ob)やマティアス・シュペーター(リュート)のほか、欧州古楽界でもっとも注目される多芸なガンバ奏者
ロミーナ・リシュカのような新世代の名手も存在感をみせています。しっとりした哀調が印象的だった旧録音とはやや趣きが異なる、輪郭のはっきりした陰影の深い音作りも印象的です。
「教会カンタータ〈人よ、汝に善きこと告げられたり〉BWV45」と「モテット〈おおイエス・キリスト、わが命の光〉BWV118」をヘレヴェッヘが録音するのは今回が初。長年の共演者ペーター・コーイのバス独唱をはじめソリストたちの活躍めざましいBWV45といい、葬送のモテットBWV118での一体感あふれる響きの美といい、詩句一つ一つが映える聴きどころが満載の名演に仕上がっています。同一パートは3名までという緊密な器楽編成ならではの音作りがよく生きています。