7月6日に開幕する第74回カンヌ国際映画祭でオープニング上映されるフランスの鬼才、
レオス・カラックス監督最新作『アネット(Annette)』。もともとは
スパークス(Sparks)がアルバム用に温めていたアイディアを、カラックス監督が映画化したという経緯を持つこの作品に、スパークスが提供した音楽をまとめたサウンドトラックが配信中です。
映画は全編ミュージカル仕立てで、主演のアダム・ドライバー、マティオン・コティヤール、
サイモン・ヘルバーグらキャストの歌唱はサントラにも収録されています。歌詞はスパークスとレオス・カラックスが共同で書き、スパークスは演奏とプロデュースを担当しました。
スパークスとカラックスが会ったのは、2013年のカンヌ国際映画祭の後。「カラックスとカンヌでミーティングした時、僕たちは彼の中に我々とすごく近いものを感じたんだ。何の期待もなくカラックスに我々スパークスを知ってもらうためにも“アネット”を彼に送るしかないと思った。そうしたら驚くなかれ、彼はアルバムを気に入ってくれ、次のプロジェクトとして検討しようと言ってくれたんだ。この予期せぬ嬉しいサプライズは最高にハッピーな瞬間だった。カラックス作品のファンとして、彼が僕らの作品を監督してくれるなんて、夢が叶う以上の喜びだった」とスパークスはコメントしています。
また、カラックスはスパークスについて「スパークスを知ったのは、たしか14歳頃だったと思う。パリのデファンス地区にある店で彼らのアルバム『プロパガンダ』(1974年)を手に入れた。ジャケットのビジュアルに惹かれたんだ。それからほどなくしてパリのオランピア劇場で彼らのライヴを見た。『プロパガンダ(恋の自己顕示)』とその次の『インディスクリート(スパーク・ショー)』の2枚はもう自分の人生の一部と言っていい。彼らの曲は自分が知る限り最も喜びに溢れている(もちろん、辛辣なところもあるが)。自分にとってのスパークスの音楽というのは、子供の頃の家であり、嫌な思い出がいっさいない。彼らがいなかったら、映画の道に進んで以来自分がずっと夢見ていた“音楽の映画”をつくることはなかったと思う」と語っています。
Photo by Anna Webber