第78回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出された、
湯浅政明監督が知られざる能楽師=ポップスター“犬王”を描く劇場アニメーション映画『犬王』が、2022年初夏に全国公開決定。あわせて、主人公二人の声に
アヴちゃん(
女王蜂)×
森山未來のタッグが、音楽担当に
大友良英が起用されることが発表、さらに、アヴちゃんの歌声、森山の台詞、大友の音楽、監督のイマジネーションが散りばめられた特報映像が公開されました。
先鋭的な映画を発掘し、世界の新しい潮流を紹介するために2004年に新設された、ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ・コンペティション部門に選出された『犬王』。日本の長編2Dアニメーションが同部門に選出されるのは初で、他部門を含めても、2013年の『
風立ちぬ』(第70回ヴェネチア国際映画祭メインコンペティション部門選出)以来8年ぶり、フル3DCGアニメーションをあわせると2016年の『
GANTZ:O』(第73回ヴェネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門選出)以来5年ぶりの日本の長編アニメーション選出となります。発表では「この作品は14世紀の日本を舞台に、時代の潮流に抗うユニバーサルなドラマ性を持ち合わせた、ある種のロック・オペラだ!」と紹介され、選出の知らせを受けた湯浅監督は「室町時代にロックな演奏で歌唱で舞で、自分の生き方を貫き、宿命的な奈落から駆け上がって行った2人。映画は見てるだけで胸が熱く、あがるものになるはずです」と熱い想いを語りました。
本映画は、室町の知られざるポップスター“犬王”から生まれた物語を、変幻自在のイマジネーションで描くミュージカル・アニメーション。湯浅政明(監督)、
松本大洋(キャラクター原案)、野木亜紀子(脚本)といった常に新作が期待されるクリエイターが集結し、『平家物語 犬王の巻』(古川日出男 著)を原作に、室町時代に人々を熱狂させた実在の能楽師・犬王と、そのバディである琵琶法師・友魚の友情を描きます。
このたび出演が発表された“女王蜂”のヴォーカル・アヴちゃんは犬王役を、俳優の森山未來はバディの友魚役を担当。公私ともに仲が良く、その多才さでジャンルを問わず活躍し、強烈な個性を放ち続ける二人が映画『
モテキ』以来10年ぶりの共演を果たしました。また、古典芸能である「能楽」を描いた本作において非常に重要となる音楽を担当するのは、『
あまちゃん』『いだてん〜東京オリムピック噺〜』『
花束みたいな恋をした』の大友良英。映画音楽のほか、ミュージシャンとしてのライヴ活動、音楽ワークショップや一般参加型のプロジェクトの立ち上げなど幅広くその才能を発揮する大友は「気づくと自分も『犬王』の世界にすっかり没入していました。とんでもない作品です。大傑作です!」と本作への熱量をあらわにしています。
公開された特報は、室町時代の京都を舞台に、躍動感あふれるアニメーションによる犬王と友魚に、伸びやかでいて、高音から低音まで縦横無尽に飛躍する犬王の歌声が重なり、「室町時代」や「能楽」の既成概念を取り払うかのような、音楽フェスにも見えるシーンが次々と畳みかける、湯浅アニメの真骨頂が映し出された映像。友魚を演じる森山による「お前をなんと呼べばいい!」、犬王を演じるアヴちゃんによる「実はもう決めてある!」という台詞に呼応するかのように本作のタイトル『犬王』の文字が浮かび上がり、同時に流れる鋭いギターサウンドから音楽を担当する大友がその個性を存分に発揮していることが伝わる仕上がりです。
ジャンルを超えてボーダーレスに活躍するメンバーで、室町時代の最先端エンタメとしての「能楽」に挑む映画『犬王』は、2022年初夏の上映が決定したほか、第78回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門選出を受け、今年9月に予定されている同映画祭での上映がワールド・プレミアも決定しています。
[コメント]普段女王として生きているわたしが、今回「王」として生きる機会を頂きました。
「犬王」。
まっすぐに、運命の映画だと言い切ることが出来ます。
ああ!来年をおたのしみに!――アヴちゃん現存する能楽が確立される前なのだから自由な発想で演じられていい、という考えのもとに湯浅監督が生み出したぶっ飛び能楽アニメーション「犬王」。琵琶法師、友魚として、これまたぶっ飛んだアヴちゃん演じる、艶やかな犬王に寄り添う。必然、ジェットコースターのような現場でした。世界最古のミュージカルと言われる「能楽」の豊かな可能性を感じられる映画になっているのではないでしょうか。――森山未來正直に書きます。湯浅監督の具体的なのか抽象的なのかさっぱりわからない無茶苦茶な注文と、素人目には何が描かれているか皆目検討がつかないスケッチ段階の動画に翻弄されまくった3年間でした。でもただ翻弄され続けただけならとっくにやめてます。絵が立ち現れ歌や音ともに動き出した時の興奮と感動をいったい何度味わったことか。気づくと自分も「犬王」の世界にすっかり没入していました。とんでもない作品です。大傑作です!――大友良英2人の物語が多くの人に知られると嬉しい。
室町時代にロックな演奏で歌唱で舞で、自分の生き方を貫き、宿命的な奈落から駆け上がって行った2人。映画は見てるだけで胸が熱く、あがるものになるはずです。オーパーツは至る所にあったはず。我々は多くの物語を知らなすぎる。彼らが認められ、称賛されることは、どの時代をも真直に生きる者達が報われる事だ。――湯浅政明©“INU-OH” Film Partners