『
青い春』『
ナイン・ソウルズ』『
空中庭園』などで知られ、2020年には小笠原諸島を舞台としたドキュメンタリー映画『プラネティスト』に加え、イタリアのオルトレ・ロスペッキオ国際映画祭2020で監督賞を受賞した『破壊の日』を公開。翌年、
窪塚洋介主演の新作『全員切腹』を発表したことも記憶に新しい鬼才・豊田利晃監督による、太鼓芸能集団・
鼓童初主演の“震撼音楽映画”『戦慄せしめよ』が、2022年1月28日(金)より、東京・シネマート新宿にてブーストサウンド、大阪・シネマート心斎橋にてboidsound限定上映他、全国順次上映が決定。公開に先駆けて、ポスター・ヴィジュアルと予告編が公開されています。
佐渡島を拠点に日本の伝統芸能を世界に発信し続け、今年創立40周年を迎えた太鼓芸能集団、鼓童。その鼓童の初主演作となる本映画は、鼓童のメンバーから届いたメールをきっかけに、気鋭の現代音楽家・日野浩志郎(
goat /
bonanzas /
YPY)が延べ1ヵ月に及ぶ鼓童村での滞在制作で完成させた楽曲群を鼓童が演奏、豊田監督が全編を佐渡島で撮影、映像化したもの。2021年2月に、映像配信のみでの発表後、ドイツ上映にて未だかつてない強烈な音楽体験で話題をよんだ本作の凱旋上映が決定しました。
緻密な楽曲群を迫力の鼓童の太鼓が打ち鳴らす、戦慄の89分。日本の原風景をとどめる佐渡島の歴史と神秘を紐解き、音と映像に込めて届けるセリフの一切ない音楽劇です。出演に豊田組の盟友である俳優・
渋川清彦も参加。2022年、佐渡島からの祈りを、映画館の大きな銀幕と迫力の音響で体感して欲しいところです。
[コメント]2020年12月、日本中がコロナパンデミックで真っ赤に染まる中、感染者がゼロの佐渡島で俺たちは祈るように撮影をしていた。極寒の佐渡島を恐れることなく、ただ太鼓の音にだけ震えた。鼓童の硬質なストイックさに忘れていた未来を感じた。あの時期、あの場所でないと映らない霊気がここにある。
音で奏でるドキュメンタリー。時代が戦慄している。――豊田利晃日野浩志郎氏と共に、音作りに没頭できた日々は、鼓童にとっても意義のある時間となった。
日野氏は、我々とはまったく違った視点から、鼓童の音楽を見つめ直し、当たり前のように叩き続けてきた太鼓の音の中に、新たな響きを見出そうとしていた。一般的に太鼓は、郷土芸能を想起させることが多い。
しかしこの作品の中での太鼓は、そこを通り越して、自然そのものを感じさせる。
極限まで洗練された音楽性は、その音色を際立たせ、無個性でありながら自然的な力強さを生み出した。
誰も経験したことがないパンデミックの最中、静かに迎えた鼓童創立40周年。
劇場で音が届けられない状況下で、自分たちの音楽性や在り方を問い直した。
「戦慄せしめよ」というこの映画をきっかけに、豊田監督や日野氏に出会い、新たな価値観や音楽観に触れられたことは、今の時代にも太鼓と向き合い続ける鼓童にとって、必然である気がしてならない。 ――太鼓芸能集団 鼓童 住吉佑太photo by 大森克己© 越島