作詞、作曲、アレンジのほか、デザインや映像もみずから手がける現役大学生のマルチ・アーティスト、
VaundyのWOWOWオリジナルライヴ番組『Vaundy Museum Live』が1月16日(日)に放送されるのに先がけ、ヒット曲「踊り子」のライヴ映像がYouTubeで先行公開されました。
また、岐阜県の光ミュージアムで収録されたこのライヴのオフィシャル・レポートが公開されています。
[ライヴ・レポート] 「美術館で撮ったっていう作品、それで『なるほどね〜』って聴いてもらうのがじつは一番いいのかなって……ここの『光ミュージアム』の音で、雰囲気で、ちゃんと作品として作り上げたものを出せたらいいなって」
VaundyがWOWOWとタッグを組み送るオリジナルライブ。上の本人のコメントにもあるとおり、その会場として選ばれたのは、岐阜・飛騨高山にある美術館「光ミュージアム」だ。そんな特別な場所を舞台にしたライブの楽しみ方について、彼はそんなことを口にしていた。ライブ中のMCで「この感じ、久しぶりなんですよね」と言っていたように、Vaundyの最初のワンマンライブは渋谷クラブクアトロから配信された無観客ライブだったのだが、これはそれとは似て非なるもの。2021年をかけて何度もワンマンライブを行ないその熱を実感するとともに、楽曲やMVの制作においてよりクリエイティビティを研ぎ澄ませてきたVaundyだからこそ作れる、新たなかたちのパフォーマンスが繰り広げられた。ライブの鉄板曲から最新の楽曲までを織り交ぜたセットリストは、進化し続けるVaundyの姿を明確に映し出していた。
美術館のエントランスから続く真っ暗な地下通路にVaundyの歌声が響き渡り、「東京フラッシュ」からスタートしたライブ。時折浮かび上がるシルエットが、これから始まるショーへの期待を煽る。そのままモノクロームの映像で展開するライブは、時折体を揺らし、ステップを踏みながら歌うVaundyの姿を伝えてくる。ライブでお馴染みのサポートメンバーも登場し、ますますパフォーマンスは白熱。広々とした空間を映し出す映像は圧倒的な迫力だが、そんな映像美を突き破るように、エモーショナルなVaundyの歌が響き渡る。そんななか、Vaundyの現在地をまざまざと見せつけるようにして演奏されたのが最新配信シングル「踊り子」だ。ミニマルなビートが空間を震わせ、シンプルなのにとても「大きな」曲であることが伝わってくる。
その後、ライブ中盤におけるハイライトとなったのが、フジテレビ“ノイタミナ”TVアニメ「王様ランキング」第2クールオープニング・テーマとなっている新曲「裸の勇者」だ。床から伸びる何本もの光の筋に囲まれて、ソリッドなロックサウンドとともに叫ぶVaundy。ドラマチックな楽曲の展開が、画面を通して心を揺さぶってくる。ライブで映えるロックな曲調は2021年のVaundyが繰り出した新たな一面だが、その力強い側面をこれでもかと見せつけてくるような楽曲である。ダークなライティングの中披露された「不可幸力」ではドープなグルーヴに乗って、Vaundyはホール内を闊歩しながら歌う。体でリズムを刻みながら響かせる声はサビで一気に力強くバーストし、それに合わせてバンドの演奏もヒートアップ。さらに「泣き地蔵」では強者揃いのバンドによる演奏とエモーショナルなメロディからラップまでさまざまな顔を見せるVaundyのボーカルがせめぎ合うようにデッドヒートを繰り広げる。体を大きく折って絞り出すようにして声を張る彼の歌声が、いよいよクライマックスが迫ってきたこのライブをさらに加速していった。
その後ホールの壁面や天井もフルに活用した照明演出が特別なムードを作り上げる中、ライブは最後まで息をもつかせぬスピード感で突き進んでいった。映像作品としての完成度はもとより、そこからはみ出るライブのパワーもしっかりと伝えきったVaundyのスペシャルライブ。2021年の充実ぶり、そして2022年のさらなる躍進に期待を抱かせる手応えたっぷりのパフォーマンスに、大いにご期待いただきたい。(小川 智宏)Photo by 日吉"JP"純平