『
かもめ食堂』『
めがね』でその自然体な演技に女性たちから絶大な支持を得てきた
小林聡美を主演に迎え、安倍照雄によるオリジナル脚本を、『
愛を乞うひと』『
閉鎖病棟-それぞれの朝-』など、さまざまな視点から人生を描いてきた
平山秀幸監督が映画化した“大人のおとぎ話”『ツユクサ』が、4月29日(金・祝)より全国公開されます。このたび、公開に先駆けて本編映像が公開となりました。
港のある小さな町で一人暮らしをする主人公、五十嵐芙美(いがらし・ふみ)。小林演じるこの50歳目前の女性が、ある日、空から降ってきた隕石にぶつかってしまうことから物語は展開します。子役の
斎藤汰鷹演じる年の離れた小さな親友・航平をはじめ、
松重豊演じる田舎街に越してきた気になる男性・篠田吾郎、
平岩紙と
江口のりこが演じる気心の知れた女友達などを交え、主人公が過去を抱えながらも「今」を生きる姿を爽やかに映し出した作品です。
本予告映像は、車を運転中の主人公・五十嵐芙美の元に隕石が降ってくるシーンから幕開け。隕石が人間に当たる確率は1億分の1。50歳を目前にしてそんなありえない出来事に遭遇した芙美は、海岸で月の石を手に「なんだか幸せになれる気がする」と語ります。ある日、街では見慣れない男性・篠田吾郎と運命的に出会う芙美。彼はどこにでもあるツユクサの葉で芙美に草笛を吹いて見せてくれます。抱える過去を知らぬまま惹かれあう2人ですが、芙美は「50歳になる前に隕石にぶつかった。篠田さんにも会えた。それでいいんです」と篠田に伝えます――。日を精一杯に生きる中で、日常の中に溢れたささやかな幸せを見つけていく芙美を瑞々しく切り取った、“大人のおとぎ話”への興味が掻き立てられる映像となっています。
また、劇中では、
渋川清彦、
泉谷しげる、
ベンガル、
水間ロンなどの御馴染みのキャストから、落語家の
桃月庵白酒や
瀧川鯉昇が味わい深いキャラクターを熱演しているのも見どころ。平山監督たっての希望で1969年の昭和の名曲、
中山千夏の「
あなたの心に」がエンディング曲として起用されたことも明らかになりました。主人公・芙美にこれから訪れるだろう幸せや希望を映し、大人の人生にそっと寄り添ってくれるような人生賛歌『ツユクサ』に期待が高まります。
[コメント]平山監督のぶっきらぼうで温かなまなざしで描かれた「チッチとサリー」のような作品になりました。
人生、もう新しいことは何も起きないだろう、と思って暮らしていても、ある日“小さな奇跡”にぶつかる可能性があるかも。
そんなことを想像しながら、この作品を楽しんでいただけたらうれしいです。――小林聡美俳優としても実生活でも恋愛とは無縁だという自覚を持って暮らしていました。
旧知の平山監督からこの作品のお話を頂き、新たな恋路に旅立つ期待と不安を抱きつつ喜んでお引き受けした次第です。
全編を通じて主演の小林聡美さんの透明感溢れる知的な存在感が圧倒的で、そこに惹かれていく男を演じることに、微塵も演技が入る余地はありませんでした。――松重豊©2022「ツユクサ」製作委員会