ハンク・ジョーンズや
ジミー・コブなどの数々のジャズ・レジェンドに愛され、ロイ・ハーグローヴ・クインテットで日本人初、最後のレギュラー・メンバーだった米ニューヨーク在住の実力派ピアニスト、
海野雅威のニュー・アルバム『
Get My Mojo Back』が3月2日(水)にリリース。
2020年9月に新型コロナウイルス蔓延によるアジア人ヘイトクライムの犠牲となり、ニューヨークの地下鉄構内で集団暴行に遇い、ピアニストにとって致命的と言える右肩骨折などの重傷に見舞われた海野雅威。その後、不屈の精神と懸命なリハビリで再起し、支えてくれた大切なミュージシャン仲間と2021年の7月と9月にニューヨークでレコーディングしたのが本アルバム『Get My Mojo Back』。収録曲はすべて海野のオリジナル曲。大半が療養中のピアノを弾くことができなかった時期に書き下ろされたもので、ストレートなメロディと生命力を感じさせる力強いサウンドが魅力の作品となっています。
なお、海野は日本に一時帰国し、新作のプロモーションを実施。3月7日(月)21時には、Universal Music Japanジャズのインスタグラム・アカウントにて、初のインスタライヴを開催。また、3月20日(日)には東京・ブルーノート東京にて同じくニューヨークを拠点に世界で活躍するタップ・ダンサー
熊谷和徳との初共演ライヴが決定しています。
[コメント]全曲ともアイディアやモチーフの断片などは、全くピアノが弾けない状態で浮んできたものをレコーダーに口ずさみ、それを後で曲に仕上げました。ピアノを使わずに曲を作るのは初めての経験でしたが、その分、心の底で本当に鳴り響く音にじっくりと耳を傾けて生まれた曲なので、シンプルで力強く、素直に口ずさめるメロディーが生まれたのかもしれません。たとえピアノが弾けなくても音楽は自分から離れてはいかない、という希望を持つことができました。
私が重傷を負った事件は、コロナ禍で殺伐とする分断社会を象徴するニュースとして、理不尽さに怒りを持って受け止めた方も多いと思います。様々な人に支えられながら、奇跡的になんとかここまで戻ってくることができました。そして大切な仲間と共にレコーディングした渾身の復帰作がここに誕生しました。世界は不安定な情勢ですが、差別や暴力に決して屈せず、憎しみでなく愛を音楽で示したかったのです。この作品を通して生きる喜びや希望を感じて頂けたら幸いです。復帰を願ってご心配頂いた多くの皆様に、心から感謝しております。――海野雅威©John Abbott