2018年、「第13回小説現代新人賞」を受賞した注目の女性作家・神津凛子(かみづ・りんこ)のデビュー作『スイート・マイホーム』を、
齊藤工が監督を務め、主演に
窪田正孝を迎えて映画化した『スイート・マイホーム』が2023年に全国公開されることが決定しました。
「第13回小説現代新人賞」で選考委員を務めた全員が戦慄したといわれる本原作。選考委員の
角田光代は「読みながら私も本気でおそろしくなった」と評しており、『
富江』シリーズや『
うずまき』などで知られるホラー漫画家の
伊藤潤二は「ミステリーファンのみならず、ホラーファンもきっと満足することと思います」とコメントを寄せています。
監督を務めるのは、5月13日(金)に公開予定の『シン・ウルトラマン』で主演を務める一方、長編映画初監督作『
blank13』が「第20回上海国際映画祭」で最優秀監督賞を受賞するなど、世界的にも評価を得ている齊藤工(俳優「斎藤工」は、自身の監督する作品については監督名を「齊藤工」と表記)。齊藤は他にも『COPLY+-ANCE』(20)、『
ゾッキ』(21)など、監督やプロデュース業など活躍の場を広げ続けています。
齊藤監督とタッグを組むのは、連続ドラマ『
臨床犯罪学者 火村英生の推理』(16)にて、俳優“斎藤工”のバディ役としても共演した主演・窪田正孝。近年、『
東京喰種 トーキョーグール』シリーズや『
初恋』などの話題作で主役を演じ、TVドラマ『
ラジエーションハウス』やNHK連続テレビ小説『
エール』での好演が記憶に新しい窪田が奇妙な事件に巻き込まれていく主人公・清沢賢二を演じます。『臨床犯罪学者 火村英生の推理』以降、いつかともに作品を作ることを約束してきた2人。監督と俳優として相まみえ、これまでに見たことのない化学反応を創出していきます。
撮影中の現場にて窪田は「不思議な感じがある」と語り、「(齊藤)工さんが俳優部から監督・演出部にポジションが変わった時、映像を通して見てもらっているという意識、感覚がとても新鮮」、「台本からインプットしたものをアウトプットする時、掛け算や足し算をしていくけれど、監督はお芝居を引いてくれる」と俳優としての顔を持つ齊藤監督への信頼を寄せています。一方、窪田に対して齊藤監督は「撮影中、窪田さんに些末な言葉で漠然と芝居のイメージなどを伝えてしまっているのですが、それを見事に、微細なさじ加減を体現してくださっている」とコメント。「スタッフも窪田さんを絶賛されている」と現場での立ち振る舞いや広い視野、集中力の高さを称えています。
齊藤監督は「監督が『齊藤工』というようなことが独り歩きしては失敗。国内は勿論ですが、斎藤工なんて存在や情報を知らない海外の厳しい映画ファンたちに突き刺さるような作品になって初めて、関わっていただいた方たちへ感謝の意となる」と熱意を表し、「強度を持った作品に創り上げたいと思っているので、楽しみにしていただけたら嬉しいです」とメッセージを寄せ、窪田も「自分の仕事を全うし、作品がどんどん大きく、いろんな色を帯びて愛される作品になったらいいなと思います」と撮影に臨む決意を新たにしています。さらに、原作者である神津凛子からも「文字から立ち上がる世界を映像で観られるというのは、異なる世界を旅するようでワクワクします。それが齊藤工監督の素晴らしい感性と窪田正孝さんの卓越した演技で描かれるとなればなおさらです」と期待のコメントが寄せられています。
[齊藤工監督 コメント]――数多くの作品で共演をしている窪田さんの今回改めて感じた魅力や新たな発見は?窪田さんとは様々な現場でご一緒してきたので現場での立ち振る舞いや些細な配慮、視野の広さ、集中力を見てきました。逆に言うと奥の奥があるというのを知っているので、窪田さんをモニター越しで見ながら、このシーンではもう一個奥まで行ってもらおうと、すごく漠然と伝えても、微細なさじ加減で計算的ではない形にしてくれます。原作で完結しているものをあえて実写化するのであれば、それを丁寧になぞるのではなく、生身の人間でまた別の世界観を創りあげるべきだと思っています。主人公・清沢賢二像がこの映画のライフラインでありますが、窪田さんはコアな部分を捉えてくださっているので、本当に注文がほぼないです。
撮影スタッフからも窪田さんの賢二は絶賛されていて、この時の賢二の表情が見たいということでシーンが増えていくほどです。例えば、相手役に向き合う窪田さんの肩だけが映っているシーンがありましたが、肩だけでも十分に伝わってきたんですよね。どのパーツでも表現出来るのだなと思いました。足の小指のみでも窪田正孝は成立させられるという、部位俳優ですね。全身がその状態になってくれているというか。本当に感動しました。――この映画を楽しみにしている方々に対するメッセージ本作が企画からクランクインする迄に約3年程かかりました。
監督と言う立場としては、何よりクリエイティブファースト・作品至上主義という形で強度のある作品にしていかないと、窪田さんをはじめ関わってくださった全てのキャスト・スタッフに本当の御礼にはならないことを肝に銘じています。監督が「齊藤工」ということが独り歩きするような作品では僕は失敗だと思っています。国内は勿論ですが、斎藤工なんて存在や情報を知らない海外の厳しい映画ファンたちに突き刺さるような作品になって初めて、出演や関わって頂いた方たちへの唯一感謝の意になると思います。我々でしか生まれない化学反応、そういった意味合い、必然性のある強度をもった作品に創り上げたいなと思っています。[窪田正孝 コメント]――齊藤組の現場の雰囲気をどう感じているか?ちょっと不思議な感じはありますね。ドラマでも相方役をやらせてもらって、工さんといると安心感があります。でも俳優部から監督に変わった時に、ポジションが変わるだけで、映像を通して表現者に見てもらうというまた違う感覚があるのが新鮮です。
特にこの作品では、僕の演じる役が色んなところに振り回されたり、(主人公として)視聴者目線だからこそ色んなものを背負わなければいけないので、どうしても台本からインプットしたものをアウトプットする時に掛け算とか足し算をしていくんです。監督はそれを引いてくれるんです。非現実的だけど現実の方に行ってしまったり、嘘になりすぎてしまうようなところにブレーキをかけてくださって、ナビゲートしてくれています。――この映画を楽しみにしている方々に対するメッセージ今、この作品のテーマでもある主人公のホームの撮影に入っていて、色んなことを疑似体験させてもらっています。父という目線もそうだし、子供がいるという感覚だったり、色んな感情が出てきたり爆発したり消化不良を起こしています。この距離だからこそ工さんを通して、俳優部からではない視点から見えたりすることもすごく新鮮だったり、色んな感じたことのない気持ちを日々感じています。それを表現できるように、目下頑張っています。
僕なんかには想像もできない視野の広さが監督にはあるので、何か一つでも残せるようにちゃんと自分の仕事を全うできるようにして、作品がどんどん大きくなって、色んな色を帯びて愛される作品なったらいいなと思います。[原作・神津凛子 コメント]文字から立ち上がる世界を映像で観られるというのは、異なる世界を旅するようでワクワクします。それが齊藤工監督の素晴らしい感性と窪田正孝さんの卓越した演技で描かれるとなればなおさらです。
わたしが見ていた物語のドアはたった一つでしたが、映画をご覧になる方の数だけドアが開かれるのだと思うとその世界の広さはいかばかりかと想像するだけで圧倒されるようです。
旅の支度を進めながら、公開を待ちたいと思います。©神津凛子/講談社