優しさと切なさに満ちたひと夏の青春を繊細な筆致で描き、デビュー作にして第13回小学館ライトノベル大賞のガガガ賞と審査員特別賞のダブル受賞を果たした八目迷の『夏へのトンネル、さよならの出口』(小学館ガガガ文庫刊)が劇場版アニメとして映像化決定。この度、声の出演として
鈴鹿央士、
飯豊まりえがダブル主演を務めることが発表、合わせて総作画監督を務めた矢吹智美によるキャラクターデザインも公開されています。
“ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。ただし、それと引き換えに…。”掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結びます。これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語――。
本作は、監督を映像表現に定評のあるアニメーション監督・
田口智久(『
デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』、『
アクダマドライブ』)、キャラクター原案・原作イラストを精緻でドラマティックなイラストレーションで知られる“くっか”(『D_CIDE TRAUMEREI』キャラクター原案)、制作を『
映画大好きポンポさん』などを手がける新進気鋭の制作会社CLAPが担当。次世代アニメーション界を担う注目のスタッフが集結しました。
そして、とある夏の夜、“ウラシマトンネル”と出会い、欲しい物を手に入れるために探検を試みる塔野カオル役を務めるのは鈴鹿央士。映画デビュー作『
蜜蜂と遠雷』で鮮烈な印象を残し、その年の日本アカデミー賞、報知映画賞、毎日映画コンクールなどの新人賞を総なめ、その後も映画やドラマで活躍し、今最も期待されている若手俳優が声優に初挑戦します。幼少期のある出来事により心の中に後悔と悲しみを抱え日々を過ごす多感な少年を、声優初挑戦とは思えない大胆さとフレッシュさで演じきりました。また、容姿端麗・頭脳明晰ながらクラスで少し浮いた存在の転校生で、カオルとともに“ウラシマトンネル”の謎に挑む花城あんず役を務めるのは飯豊まりえ。数々の映画やドラマ出演に留まらず、アニメ映画『
劇場版シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』や実写版『
トムとジェリー』の日本語吹き替えキャストを務めるなど声優としての実績も着実に積んでいる飯豊は、鈴鹿とのテンポのよいやり取りも完璧。そのナチュラルな佇まいそのままに、勝気だがカオル同様に秘めた想いを抱える少女を爽やかに演じています。
主演2人のアフレコは2日間連続、朝から夜に渡って行われました。初のアフレコ収録ながら、監督や音響監督の緻密な要求に応えてOKテイクを重ねていく鈴鹿と、これまでのアニメ出演のキャリアを感じさせながら、気丈に振る舞いながらも内面は繊細な性格であるあんずを好演する飯豊。通常、アニメのアフレコは時系列で各役者が順番に入れ替わりアフレコを行うため、役者陣は適宜休みながら収録を行うことができるのですが、本作は主演2人のやり取りでほぼストーリーが進むため、今回の収録は2人のみで“生の掛け合い”を意識し、1対1の演技を2日連続で徹底して行ったとのこと。日々アフレコを行う声優にとっても過酷なスケジュールでしたが、2人はモチベーション高く演じきりました。途中、アフレコ特有の“距離感”に悩む鈴鹿に対し、飯豊が「マイクの向こう側にいる人に向けて話すようにしてみては?」と経験者ならではのアドバイスが。このアドバイスで鈴鹿は勘を掴み、これまで鈴鹿が培ってきた実写での演技を活かした素晴らしいアフレコになっていったとのことです。
[コメント]『夏へのトンネル、さよならの出口』で塔野カオル役を演じました鈴鹿央士と申します。
原作を読ませていただいて、八目先生がつくられた物語にどっぷり浸かっていましたし、ずっと浸かっていたかったです。
丁寧で綺麗な描写に情景が浮かんできて、僕は秋に読んだので夏が恋しくなりました。
アニメーションの声を務めさせていただくことが決まった時は、自分には恐れ多いことだと思いました。
オーディションでは、初めての体験をただ楽しむことにしていたので、まさかこの役を務めさせていただくことになるとは思っていませんでした。
普段、映像の世界にいる自分にとって未知の領域を体験し、アニメーションの奥深さやキャラクターを創りあげていく過程に心弾みました。
小さい頃から触れてきた日本を代表する文化の一つに声というピースで参加することができてとても幸せな気持ちと緊張感に包まれました。2日間のアフレコで監督を始めとするスタッフさん方、飯豊さんにも支えられて楽しみながらアフレコできました。
声をあてた時はまだ動画になっていなくて、色もついていなかったので、どのようにあの世界が彩られているのかとても楽しみにしています。――鈴鹿央士『夏へのトンネル、さよならの出口』で花城あんず役を演じました飯豊まりえです。
ノスタルジーな世界観で、彼らが存在している場所やトンネルの中はどれも懐かしく不思議な感覚になります。
「本当に欲しかったもの」を目指して手を組む2人にはどんな結末が待っているのか。
そしてなによりも彼らを取り巻く風景がとても美しいので、ぜひ映画館でウラシマトンネルがある世界に迷い込んだような錯覚になっていただきたいです。
劇場でお待ちしております!――飯豊まりえこの作品で最も重要だと思ったのは「存在感」です。アニメという1から10まで創作されるイメージの奔流の中で、確かに息づく存在感をカオルとあんずに与えなければなりませんでした。
当然主演2人のオーディションは難航。しかしそんな中でとびきりの「存在感」を放っていたのが、鈴鹿央士さんと飯豊まりえさんでした。お二方を起用するに当たって色々とこういう所が良かったと理由を切りなく上げることは出来るのですが、一番は「ピンときた」という事です。お二方の掛け合いを聞いた時にカオルとあんずが存在しているように、瞼の裏に見えた……ので、お願いさせて頂きました。
その存在感を是非、劇場で確かめて頂けたらと思います。――田口智久監督©2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会